イラク 避難民帰還ペースに遅れ
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イラク 避難民帰還ペースに遅れ

10月8日 4時30分 twitterでつぶやく

イラクでは、ことし3月の国民議会選挙のあとも新政権が発足できない状況が続くなか、戦乱や宗派間対立を逃れて、国内のほかの地域に移り住んだ避難民などの帰還のペースが遅れていることが明らかになり、国連の担当者はイラク政府に対し、避難民の帰還を進めるためにも新政権の発足を促していきたい考えを示しました。

イラクでは、イラク戦争や、それに続く宗派間の対立によって国内のほかの地域に移り住む避難民が、開戦から7年がたった今も150万人に上り、周辺国に避難した難民とあわせて大きな問題になっています。これについてイラクのUNHCR=国連難民高等弁務官事務所のカルディ副代表がNHKのインタビューに応じ、帰還する国内避難民の数が、ことしに入ってから1か月当たり1万人以下にとどまり、去年と比べておよそ半分から3分の2に減っていることを明らかにしました。その理由についてカルディ副代表は、UNHCRがことし避難民など4000人を対象に行った調査で44%の人が「政治の不安定」を挙げたとしたうえで、ことし3月の国民議会選挙以降新政権が発足できていない「政治的空白」が避難民を不安にさせ、帰還を妨げていると指摘しました。こうした状況を踏まえ、カルディ副代表は「避難民の帰還を進めるためには新政権の発足を通じて治安の安定や教育の充実などを実現していくことが重要だ」と述べ、イラク政府に新政権の発足を促すとともに国際社会にも支援を呼びかけました。