【ニューデリー杉尾直哉】アフガニスタンのカルザイ大統領は7日、旧支配勢力タリバンなど武装勢力との和解と平和構築を目指す「高等和平評議会」を首都カブールで開催した。ただし、米軍主導の武装勢力掃討作戦が継続中であることなどから、和平実現は困難を極めそうだ。
この日は、米国が01年同時多発テロの報復として同年10月7日に首都カブールなどを空爆し、アフガン戦争に突入してからまる9年の節目。現地からの情報によると、開催数日前からアフガン政府はタリバン政権の旧体制の高官らと水面下で接触を持ち、開催にこぎつけた。
AP通信によると、カルザイ大統領は「和平評議会はアフガン国民の希望の源」と述べ、紛争からの脱却への期待を表明した。
一方、米軍主導の北大西洋条約機構(NATO)軍によるアフガン武装勢力への攻撃は7日も続き、AP通信によると、NATO側は前夜からの空爆や地上作戦で、武装勢力数十人を殺害した。この中には、数々の待ち伏せ攻撃やアフガン警察への攻撃をしかけていたとされるタリバンのマウラウィ・ジャワドゥラー司令官も含まれるという。同通信によると、今週、開戦以来のNATO軍の戦死者は2004人となり、2000人を超えた。
タリバン側は、表向きには、「駐留外国軍が撤退しない限り、カルザイ政権との和解はない」と表明している。
毎日新聞 2010年10月8日 東京夕刊