ノーベル平和賞 劉暁波氏
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ノーベル平和賞 劉暁波氏

10月8日 18時20分 twitterでつぶやく

ことしのノーベル平和賞の受賞者に、北京で1989年に起きた天安門事件以来、中国の民主化を訴え、現在は、共産党の1党支配を批判する文書を発表したことで有罪判決を受け、服役中の中国人作家、劉暁波氏が選ばれました。

ノルウェーのオスロにあるノーベル平和賞の選考委員会は、日本時間の8日午後6時、ことしのノーベル平和賞の受賞者を発表しました。選ばれたのは、1989年の天安門事件の民主活動家で、作家の劉暁波氏(54)です。劉氏は、おととし、中国の民主化の必要性を訴え、共産党の1党支配を批判する「08憲章」と呼ばれる文書を起草してインターネット上に発表したことが、国家と政権の転覆をあおる罪に問われ、懲役11年の判決が確定し、現在、中国東北部の遼寧省の刑務所で服役しています。劉氏の受賞をめぐっては、賞の選考にかかわるノルウェーのノーベル研究所の所長が、ことし6月、中国政府の幹部から、劉氏を選べば中国との関係に影響が出るとして、圧力とも受け取れる警告を受けたと伝えられています。中国外務省の姜瑜報道官は、先月28日の会見で、劉暁波氏は「中国の法律を犯し、刑罰を科された人物であり、その行為はノーベル平和賞の趣旨に反するものだ」と述べ、劉氏の受賞の可能性が出ていたことに強く不快感を示しており、中国政府が、今後、反発を強めることは必至の状況です。1980年代半ば、北京師範大学に在学中から文筆活動を始めた劉氏は、中国の民主化の重要性を訴える知識人の代表的存在として知られるようになり、ノルウェーやアメリカの大学から講師や研究者として招かれました。1989年の天安門事件の際には、滞在中のアメリカから急きょ帰国して民主化を求める学生運動に参加し、運動が武力で鎮圧されると、中心人物の1人として身柄を拘束されました。劉氏は、その後も中国国内で政治改革を訴える評論などを発表し続け、これに対し、中国の当局は劉氏を日常的に監視したり、身柄を拘束したりしました。おととしには、中国共産党の一党支配を批判し、直接選挙の実施などを求める「08憲章」と呼ばれる文書を起草し、およそ300人の学者や弁護士らと共同でインターネット上に発表しました。中国の検察は、劉氏がこの文書を起草したほか、過去にも共産党を批判する文章を発表して政権と社会主義制度を打倒しようとしたとして、国家の転覆を扇動した罪で起訴しました。裁判で劉氏は無罪を主張しましたが、ことし2月、懲役11年の有罪判決が確定し、現在、東北部遼寧省の刑務所で服役しています。