Musicman-NET TOP > SPECIAL REPORT & INTERVIEW > レコード会社を超えた「エンターテイメント・カンパニー」を目指して(株)ワーナーミュージック・ジャパン 代表取締役社長兼CEO 吉田 敬氏インタビュー |
2008年9月8日/港区北青山
(株)ワーナーミュージック・ジャパンにて |
吉田 敬氏がデフスターレコーズの代表取締役からワーナーミュージック・ジャパン代表取締役社長に電撃的に就任して5年。この間にコブクロ、絢香、Superflyとヒットを連発させ、見事にワーナーミュージック・ジャパンの邦楽を立ち直らせた吉田氏。10月1日付でCEOに就任する吉田氏にこの5年間を振り返っていただきつつ、ワーナーミュージック・ジャパンの未来と今後の抱負について話を伺った。
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●株式会社ワーナーミュージック・ジャパン |
●前回インタビューさせていただいてから早5年経っているんですが、そのインタビューを読み返してみて、色々と仰っていたことがほぼ実現していて驚きました。 吉田:そうですか。前回のインタビューが2003年8月26日となっていますが、ワーナーに来たのが8月頭からですから、その時点では夢みたいなこともお話していると思うんですが。 ●それを実現されているので、有言実行であったなと感じます。そして今回CEOに就任されるということで、再度お話を伺いたいと思っております。 吉田:はい。10月1日付でワーナーミュージック・ジャパンのCEOに就任します。現CEOのラクラン・ラザフォードが代表取締役会長職に専任となり、僕がCEOを引き継ぐことになります。 ●10月以降、最終決裁権をお持ちになるということで、吉田カラーがより鮮明になるのではないかと思っているのですが。 吉田:組織的には上にラクランがCEOという形でおりましたが、今までもかなりの部分を任せてもらっていましたので、CEOに就任したあとも業務自体はあまり変わらないと思います。 ●まず、この5年間を振り返っていただきたいんですが、先述のインタビューで吉田さんはソニーにいるときは「勝っているのに負けているような感じがした」と仰っているんです(笑)。「ハードを売るためにコンテンツを作らされるような感じが嫌だった」と。ワーナーに移られてからそのへんのストレスは解消されたんですか? 吉田:そうですね。僕がワーナーに来たときはまだワーナーブラザーズという映画の会社と同じグループの会社で、社名も「ワーナーエンターテイメント・ジャパン」という名前でしたが、来たと同時に音楽の部分が分離して100%音楽だけの会社「ワーナーミュージック・ジャパン」になりました。音楽に集中できる環境になったので、そういったストレスからは解放されましたね。 ●今、外側の立場から見てもソニーは変わっていないですか? 吉田:うーん、変わっていないですし、ますます親と子供の関係が強くなっているように感じます。割と親が子供を突き放すことによって均衡を保てていたのが、色々な事情で親の方が子供との距離を縮めた部分があると思うので・・・。 ●子離れできない親という感じですか? 吉田:まさにそうですね。それが外から見てもわかるから「このまま行くとどうなるのかな?」と僕みたいな性分だと思いますけどね。だから、振り返ってみると僕は出るべき時期に出たんだなと思います。やはりソフトを作ってビジネスをしている僕のような人間は、そういったストレスはできるだけない方がいいと思いますし、今はすごく健全な状況で仕事ができていると思います。 とはいえ5年前に来たときはワーナーの人や組織、アーティスト、カタログ、そしてなによりも文化が今とは全然違っていたので、とても戸惑いました。今振り返るとよくここまで来たなと思いますね。 ●5年前に「早くワーナーで成功体験を共有したい」と仰っていましたが、コブクロ、絢香、Superflyと次々に成功させましたよね。 吉田:そうですね。先ほど有言実行と仰っていただきましたが、幸い3つ立て続けにヒットを出せましたし、そのうちのコブクロなんて大化けしましたからね。僕は彼らを通じて、自分自身もものすごく勉強できたなと感じています。 ●ワーナーに来られて一番最初になにをされたんですか? 吉田:僕は何も知らない状態でワーナーに来たんですが、まずは自分自身を信用してもらうところから始めました。 ●やはり社員の方々とは密にコミュニケーションをとられたんですか? 吉田:いや、信用してもらうには100回一緒に酒を飲みに行ったり、何百時間話し合っても駄目で、自分の力でヒットを作って「吉田はこうやってヒットを作るんだ」と周りに見せて、理解してもらうということ以外に方法はないということが分かったんです。それでありとあらゆる人脈と手法と経験を使って作ったヒットがコブクロや絢香なんです。 ●吉田さんの全勢力を傾けた結果だったんですね。 吉田:もう賭けですよね。最初はコブクロしかいなかったので、そこに僕の持っている全てを注ぎ込みましたね。
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