石原暴言に対する「日・韓・在日」共同抗議声明
石原慎太郎・東京都知事は10月28日、「(日本の韓国併合は)武力で侵犯したんじゃない」「どちらかといえば彼らの先祖の責任」「植民地主義といっても、もっとも進んでいて、人間的だった」などと集会で発言し、さらに31日の記者会見では「日本がやった植民地主義というのは、まだ人道的で人間的だった」と強弁しました。 これは、明らかに歴史を偽造する暴言であり、デマゴギーです。 1875年、日本は軍艦をもって朝鮮に押し入り、翌年、不平等条約を強要しました。これを皮切りに日本は、自主的な近代国家の建設途上にあった朝鮮に対し、軍事力を片手に影響力を行使し、最終的に国権を剥奪しました。仮に1910年「韓国併合」が外交的な形式を装ってなされたものであったとしても、その裏では無数の殺戮がありました。日本軍の記録によっても、1907年からの3年間だけで「暴徒」の名において殺された民衆は1万7000人を超えており、当時の忠清北道警務部長は「実に一国の大乱であった」と記しています。「併合」後も、三・一運動の平和示威を武力で弾圧して7000人以上の死者を出すなど、無数の暴力が行使されました。すなわち、日本による朝鮮の植民地化とはまぎれもなく「武力」の産物であって、「併合」後の植民地支配もまた「武力」によって維持されていたことは、否定しようのない歴史的事実です。 もし、このような植民地支配が、石原都知事が言うように「人間的だった」というのなら、いま約90万人を数える韓国籍・朝鮮籍・日本籍の在日コリアンの父母・祖父母たちは、どうして日本に来ることになったのか。1923年の関東大震災の際、なぜ6000人以上の朝鮮人が日本の軍・警察・自警団によって虐殺されたのか。なぜ、朝鮮人は言葉も文化も、名前までも奪われていったのか。なぜ、神社参拝を強制され、自主的に建てた学校も教会も閉鎖され、社会主義者も民族主義者も、牧師も信徒も治安維持法によって囚われ、獄死しなければならなかったのか。 植民地を生きた人びとの声に少しでも耳を傾ければ、日本の植民地政策は「もっとも進んでいて、人間的だった」などとは、まかり間違っても言えないでしょう。 このような歴史を「人間的」と公言することは、在日コリアンをはじめ大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国に住む人びとを愚弄するばかりか、過去の歴史から真剣に学び平和を希求する全人類に対する侮辱です。 さらに石原都知事の発言は、日々深刻化する在日コリアンに対する差別を助長するものであり、日本が加入している人種差別撤廃条約の第4条C項(「国または地方の公の公務員または機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めない」)に明らかに違反するものです。 私たちは、石原都知事に対して、次のことを強く求めます。 1.10月28日および31日の発言を撤回し、謝罪すること。 2.社会的責任をとり、都知事職を辞任すること。 2003年11月19日 石原暴言にNO!「日本」「在日」キャンドル11・14行進参加者一同 反差別国際運動/反差別国際運動日本委員会/経済正義実践市民連合/在日韓国人問題研究所/外登法問題と取り組む全国キリスト教連絡協議会/日本キリスト教協議会在日外国人の人権委員会/在日大韓基督教会関東地方会社会部/ほか |