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ひとりのオモニとして、いま

11歳と7歳の子を朝鮮学校に通わせている一人のオモニとして、またこれから日本で生きていく在日朝鮮人の一人として感じていることを述べさせてください。

 拉致問題に関しては、ほんとうに胸が痛み、また被害を受けて当事者、そしてその家族の痛みは、生きている限りなくなることはないんだろうと思います。いま煽り立てているマスコミが、あの人たちのことを忘れ去っても、政治的に利用しようとしている人たちが静かになっても、家族は永遠に痛みを抱えて人生を生きるのだということがよくわかります。なぜなら、よく「過去の植民地支配政策」といわれますが、私たち在日同胞自体が「過去から綿々と現在にわたる存在」だからです。当事者は忘れられないのです。そういうふうに考えるとき、この問題の重大さ、痛みについて、どうしようもないほど強く感じます。

 母親としていまとても心配なのは、過去のいろいろなしがらみの中で朝鮮人に差別や偏見があるという世代と違って、いま同じ中学生が朝鮮学校の中学生を、小学生が朝鮮学校の小学生を通学の途中で蹴ったり、囲んでいじめたりということが起きていることです。2002年10月の現在の時点で新たな憎しみやいがみあいの芽が育ってしまうのではないかと私は暗澹たる思いです。

 朝鮮人と日本人両方の人々、普通に生きる人々の気持ちが置き去りにされない国交正常化がめざされなければならないと思います。国と国との間に国交正常化が成っても、そこに生きる人々、朝鮮人、日本人の、とくに未来をつくっていく子どもたちの気持ちのなかに暗い影が落ちないように、私たちは何ができるのか、日々日本で暮らしている在日の母親として思うことはそのことに尽きます。(東京在住 C・Y)

                        ( I女のしんぶん 2002年12月10日号 より )

 

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