みみより情報

「日朝間における真の和解と平和を求める緊急声明」

への賛同の呼びかけ

最新情報はホームページでhttp://www.jca.apc.org/~itagaki/reconcile/


 今日の日本社会における「北朝鮮」報道はあまりにもおかしいのではないか。 「制裁措置」をはじめとした強硬論ばかりが目だっているが、「拉致」問題をめぐる報道は明らかなダブル・スタンダードなのではないか。9・11事件以後の アメリカでアラブ系の人々に対して暴力が加えられたように、メディアによって 煽られる敵意と憎悪の中で在日朝鮮人に対する暴力が行使されている状況を黙ってみていてよいのだろうか。
 下記の声明文は、こうした思いにつき動かされながら、朝鮮半島の歴史に関心 を持つ若手研究者が中心となって作成したものです。朝鮮語への翻訳も作成して、できるだけ多くの人に読んでいただきたいと思っています。ネット上で流すばかりでなく、雑誌等のメディアで発表する可能性も 模索しています。
 賛同していただける方は、メールのタイトルを「緊急声明賛同」として下記の要領で

 reconcile@ml-c6.infoseek.co.jp      までメールをお寄せください。

(1) お名前: (2) 所属団体、居住地、肩書きなど:  (3) 電子メール他:  (4) メッセージ:

【注】(1)・(2)は公表することを前提としています。(2)の所属団体、居住地、肩書きなどは声明を賛同する主体の多様性を示すためのものであり、自由に記していただいてかまいません。空欄でもけっこうです。(3)はこちらからお知らせをお送りするためのもので、公開・転用等は一切いたしません。電子メールがない場合は、他の連絡先をご記入ください。連絡がいらないという場合は記入なさらずとも結構です。(4)は任意です。ご本人の了承を得た上で公表させていただくこともあります。
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日朝間における真の和解と平和を求める緊急声明

日朝首脳会談において、朝鮮民主主義人民共和国(以下「共和国」)による日本人「拉致」問題について、共和国政府が基本的な事実を認め謝罪した。生存者5名、死者8名という発表がどこまで事実なのかということは現在の段階では確かめようがないが、理不尽なかたちで個人の生が踏みにじられたことに変わりはない。共和国政府、あるいは政府に関係する機関が「拉致」に携わっていたということが事実とすれば、それは国家による犯罪であり、その責任は重い。
 同時に、私たちは、戦前・戦中期、日本が朝鮮半島を植民地支配する状況の中で、多くの朝鮮人が日本に「強制連行」された事実も忘れることができない。多くの場合、「強制連行」が「拉致」にひとしいものであったことは、すでに1992年・1994年に日本政府が認めているところでもある。日本人被害者に遺された家族がいるように、朝鮮半島の人びとの中にも遺された家族がいる。あるいは、日本軍によって「慰安婦」とされた過去ゆえに半世紀にわたって孤独の日々を過ごし、いま、日本政府に対して謝罪と補償を求めている人びとがいる。しかし、日本政府は半世紀以上にわたってこの問題を放置し、正式な謝罪と補償を行ってこなかった。
 人間ひとりひとりの生はかけがえがない。そのことは、人種・民族に関わりなく、ひとしく真実なはずである。それにもかかわらず、しばしばこの真実は現実の力の前に翻弄されてきた。半世紀前のことだから、あるいは戦争中だったからという弁明がなされることもある。しかし、過去の痛みは大きくなりこそすれ、消えることはない。朝鮮半島において「冷戦状態」が継続していることも事実である。 

半世紀前のことだから、あるいは戦争中だったからという弁明によって日本政府・日本人による犯罪的行為を看過してしまうならば、共和国政府に対して謝罪や補償を求めることもできなくなってしまうだろう。自らの属する国家による犯罪的な行為や個人に与えた苦痛に対しては看過・黙認しながら、他の国家による犯罪的な行為だけを一方的に指弾するような「ダブル・スタンダード」は、断じて許されるべきではない。
 日本社会におけるテレビ・新聞・週刊誌などのマスメディアは、しばしばこのような歴史的視野も自己省察も欠いた「北朝鮮」報道を繰り広げている。そして、メディアのセンセーショナルな論調に煽られるようにして、朝鮮学校生徒への投石・脅迫電話など在日朝鮮人(朝鮮籍・韓国籍・日本籍を含む)に対する暴力的な行為が繰り広げられている。そのことに対して、私たちは強い憤りと憂慮を感じざるをえない。「ダブル・スタンダード」に開き直った世論とは異なる世論を形成しなくてはならない。

  日本と共和国政府との「国交正常化」交渉が再開し、朝鮮半島において南北の脱分断への動きが進んでいることを私たちは歓迎する。和解と平和へのプロセスが始まりつつある今こそ、歴史を省みるべき時である。歴史的に積み重ねられてきた暴力と不正義に対して、公正な判断を求めるべき時である。「過去の克服」は、過去の忘却からも、「国益」に基づいた損得勘定からも決して導き出されない。「過去の克服」は、暴力と不正義への批判から始めらなければならない。人間ひとりひとりの生のかけがえがなさに対する想像力が今ほど求められている時はない。それは、人間としての最低限の想像力であり、その想像力なくして日朝間における真実の和解と平和はありえないのだから。
                             2002年9月26日

賛同者(9月27日現在)
庵逧由香,板垣竜太,河かおる(滋賀県立大学教員),北原恵,金富子,駒込武(反ひのきみネット管理人、京都大学教員),鈴木香織(書店員),趙寛子(学習院大学客員研究員),中野敏男(東京外国語大学教員),松本武祝(東京大学),村山徹郎,吉沢佳世子(大学院生),吉澤文寿,米山リサ(カリフォルニア大学教員),李孝徳(静岡文化芸術大学教員)

 

サロン吉田山はこの緊急声明に賛同し、あわせて皆さんのご賛同を呼びかけます。

 

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