県は、どんな症状でも対応できる総合医を育成する「いわてイーハトーヴ総合診療医育成プログラム」に参加する医師を今月から募集している。医師不足が深刻な県内では、総合医の増加が地域医療を支える一助になるだけに、県は積極的な応募を呼びかけている。【狩野智彦】
プログラムは、まず各地域の基幹、センター病院と地域病院が連携して一つのグループを作り、2種類の医師を育成する。一つは一定規模の病院で内科全般に対応し、専門医を補完する「病院型総合医」。もう一つは地域病院で通常の診療のほかに介護・福祉を含む生活相談まで担う「地域包括型総合医」で、後期研修医や専門医からの転向を目指す人が対象だ。
育成期間は3年ほど。病院型が県立中部病院を軸に県立東和病院などで救急対応を中心に、外来診療の技術や患者・家族とのコミュニケーション能力を高める。地域包括型は国保藤沢町民病院を軸に県立磐井病院などで家庭医として、健康相談も含む生活習慣病への対応、脳卒中などの早期診断からリハビリまでを一貫して体験する。
県医療推進課によると、小規模な病院に専門医をそろえるのは難しいため、満遍なく診察でき、必要に応じて大規模な病院の専門医に引き継げる総合医が求められている。だが、多くの大学医学部では、専門医の育成が重視され、総合医はなかなか育成されないのが現状という。
佐々木亨担当課長は「県内にはさまざまな特色ある病院がある。その病院がタッグを組むことで、総合医の育成やスキルアップを応援したい。ぜひ応募してほしい」と期待する。また、参加者の希望があれば、大学などと連携して専門医の資格取得も支援する。
締め切りは12月末ごろ。問い合わせは医療推進課(019・629・5416)。
毎日新聞 2010年10月8日 地方版