ノーベル化学賞、日米の学者が共同受賞
ノーベル賞委員会は、3氏の受賞理由について、「ヘック教授らが開発したパラジウム触媒(化学反応が効率よく行われることを可能にする物質)を利用した炭素結合反応は、現代の科学者たちにとって最も有用なツールになっている。受賞者らの研究成果は、人類が新薬やプラスチックのような革命的素材を開発するのに大きく寄与した」と説明した。
パラジウム触媒反応は、医薬品や電子部品用の化合物を作るために欠かせない科学反応だ。抗がん剤の「タキソール」、鎮痛剤の「モルヒネ」をはじめ、各種の消炎剤、抗がん剤、ぜんそく治療薬などの合成薬品のほか、除草剤や有機LED(発光ダイオード)などにも使用される。
自然界の有用な天然物質には炭素が骨格となっている有機化合物が多いが、かつてはこれらを人工的に合成する際、炭素同士を結合させるのは困難だった。1968年にヘック教授は、パラジウム金属を触媒にすれば、複雑だった炭素結合の過程が容易になるという「炭素結合生成カップリング反応」を最初に発見し、学会に発表した。
根岸教授は、77年にヘック教授の発見をより大衆化させ、鈴木教授は79年、この技術の産業利用に成功した。
パラジウム触媒法は、合成化合物の生産を容易にするだけでなく、エネルギーの消耗を抑え、環境汚染物質も減少させるという「一挙三得」の効果があり、化合物製造産業に大きな革新をもたらした。
なお、2008年にノーベル物理学賞と化学賞で一度に4人の受賞者を輩出した日本は、今回も二人の受賞者を出した。
これまでの日本の化学賞受賞者は7人で、歴代のノーベル賞受賞者は計18人となった。韓国科学技術院(KAIST)化学科の張碩福(チャン・ソクポク)教授は、「匠(たくみ)の精神が生きている日本の研究風土が、優れた研究成果をもたらしたようだ」と語った。
受賞賞金の1000万スウェーデン・クローナ(約1億2300万円)は、受賞した3氏に均等に分配される。
趙虎鎮(チョ・ホジン)記者