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ノーベル化学賞に鈴木氏 北大は悲願

 スウェーデンの王立科学アカデミーが6日、ノーベル化学賞を北海道大の鈴木章名誉教授(80)、根岸英一米パデュー大特別教授(75)ら3人に授与すると発表した。北大研究者の同賞受賞は初めて。1926年(大15)に日本人初のノーベル賞受賞候補者として、北大のがん研究者市川厚一氏らの名が挙がっていたが、デンマークの研究者J・フィビガー氏が受賞。後にその受賞研究が誤りと判明する因縁があった。北大にとって「幻の日本人初ノーベル賞」から85年越しの悲願達成となった。

 北大の85年越しの悲願が成就した。ノーベル化学賞受賞が決まった鈴木名誉教授は、北大で午後8時から緊急会見。まずは「図らずも名誉ある賞を受賞できたことを非常にうれしく思う」と笑顔。続けて「北大の多くの同僚や学生の一生懸命で真摯(しんし)な努力のたまものだ」と“北大の受賞”を喜んだ。

 北大にとって、まさに悲願中の悲願だった。日本初のノーベル賞は、1949年(昭24)に物理学賞を受賞した京大卒の阪大湯川秀樹博士だった。しかし、北大HPなどによると、この23年前、1926年にノーベル医学生理学賞の有力候補に北大の前身、東北帝大農科大畜産学科出身で北大獣医学部で活躍した市川厚一博士が挙がっていた。

 市川氏の研究は、東京帝大医学部の山極勝三郎博士との共同。がんの発生原因に迫るため、ウサギの耳にタールを塗って人工がんを発生させたものだった。しかし、この年の医学生理学賞は、対立候補でネズミの胃に寄生虫で人工がんを作る研究をしたフィビガー氏が受賞したが、後にこの研究は誤りだったことが判明。早い段階で間違いが分かっていれば、市川氏らが「日本初」のノーベル賞受賞者になっていたはずだった。

 日本人初受賞の湯川氏以後、東大、東北大が受賞者を輩出。北大からは鈴木氏らの研究実績がありながら、受賞者がでなかった。そこで北大からノーベル化学賞受賞者が出るまで続けるとの覚悟で、05年から「国際情報発信型シンポジウム」をスタート。鈴木氏や、今回一緒に受賞した根岸氏らをパネリストに、05年のドイツ、06年の米国、07年のフランスと続け、08年にはノーベル賞の“本丸”のスウェーデン、09年はロシアでPRを続けてきた。

 08年には旧帝大では北大より後発だった名大から益川敏英博士と小林誠博士も受賞。それでも、情報発信を続けていた。シンポジウムを主催してきた北大触媒科学研究センターの福岡淳センター長は、鈴木氏のノーベル賞受賞を受け「08年にはスウェーデンにまで行って盛り上げてきたこと。昔(市川氏らが)逃したことも知っている。北大にとって、本当に悲願中の悲願です」と喜びをかみしめた。

 [2010年10月7日9時16分 紙面から]


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