|
きょうのコラム「時鐘」 2010年10月8日
間抜け、ひきょう、うそだらけ。野党が浴びせた言葉に菅首相がキレた。「私も野党時代に厳しい言葉を使っていたが、これほど汚い言葉は使わなかった」
小泉元首相を「詐欺」とののしった過去は棚にあげて反撃した。「原稿を見ないで答弁を」と言われると「それなら原稿なしで質問を」とやり返し、品位に欠けたと陳謝する羽目に。挑発に乗って「イラ菅」の地が出た 政治家から、言葉の力が失われて久しい。売り言葉に買い言葉の底の浅い論戦は聞く方が辛い。どっちもどっちだが「小型犬みたいにほえた」とされたことを首相は恥じねばなるまい かつて、自他ともに雄弁家と認める元首相がいた。ところが「カンナ屑のようにぺらぺらと軽い」と酷評されるようになった。逆に「訥(とつ)弁の雄弁」といわれた人もいる。雄弁は必ずしも政治家の条件ではなく、平成の国会に雄弁を求めているのでもない 責任のある重い言葉を聞かせてほしいのだ。小沢元民主党代表の昨日の会見は訥弁でも、もちろん雄弁でもない。政治家の武器である言葉を信じないで突き進む、悲しい一人芝居を見る思いである。 |