根岸英一氏「不思議でないと思った」…ノーベル化学賞

ノーベル化学賞受賞が決まり電話で話す根岸氏（ＡＰ＝共同）

　スウェーデンの王立科学アカデミーは６日、２０１０年のノーベル化学賞を、製薬や電子産業など幅広い分野で使われる有機化合物の合成技術を開発した鈴木章・北海道大名誉教授（８０）と、根岸英一・米パデュー大特別教授（７５）に授与すると発表した。日本人のノーベル賞受賞は益川敏英・京大名誉教授ら４人が受賞した０８年以来、２年ぶり。化学賞では下村脩・米ボストン大名誉教授に続き計７人に、ノーベル賞全体では計１８人となる。鈴木、根岸両氏に加え、リチャード・ヘック米デラウェア大名誉教授（７９）も、今年の同賞を受賞した。

　鈴木氏と同時受賞の根岸氏は、王立科学アカデミーと米国を結んだ電話会見で「５０年前からの夢だった。とても幸せだ」と、英語で語った。

　米東部時間６日早朝に受賞を伝える電話で起床したという。「２０代の時、賞が現実的な目標になった」と振り返り「（受賞を）考えていなかったと言えば、ウソになる」と、本音も口にした。研究の傍ら、７５歳の今もスキーやゴルフを楽しむ活動派。一方、東京芸大を目指したこともあるほど歌もうまい、趣味人でもある。

　「トータルサプライズ（本当の驚き）ではない。（同時受賞した）鈴木さんの恩師でもある先生が約８年前に、我々２人を（ノーベル賞に）ノミネートしたい、と言ってくれていた。やってきたことが認められても、不思議でないと思った」と明かした根岸氏。賞金の使い道については、「今後の研究に使いたい」と意欲的だった。

　◆根岸　英一（ねぎし・えいいち）１９３５年７月１４日、満州国新京（現中国吉林省長春）生まれ。７５歳。５３年に神奈川県立湘南高、５８年に東京大工学部応用化学科を卒業後、帝人に入社。休職中の６３年に米ペンシルベニア大で博士号を取得した。６６年に退職後、米パデュー大、米シラキュース大を経て、９９年からパデュー大特別教授。９７年、日本化学会賞。

（2010年10月7日06時03分  スポーツ報知）

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