◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
スウェーデンの王立科学アカデミーは6日、2010年のノーベル化学賞を、製薬や電子産業など幅広い分野で使われる有機化合物の合成技術を開発した鈴木章・北海道大名誉教授(80)と、根岸英一・米パデュー大特別教授(75)に授与すると発表した。日本人のノーベル賞受賞は益川敏英・京大名誉教授ら4人が受賞した08年以来、2年ぶり。化学賞では下村脩・米ボストン大名誉教授に続き計7人に、ノーベル賞全体では計18人となる。鈴木、根岸両氏に加え、リチャード・ヘック米デラウェア大名誉教授(79)も、今年の同賞を受賞した。
3氏の受賞理由は「有機合成におけるパラジウム触媒によるクロスカップリング」。安定しており反応させづらい炭素原子同士を、金属のパラジウムを含む物質を加えることで容易に結合させることを可能にした革新的な技術だ。3氏は、別々の物質を反応の目印として使い、それぞれ効率を飛躍的に上昇させた。
思い通りの構造の化合物を作る技術は、血圧降下剤、抗がん剤、エイズ薬など医薬品の合成に道を開いた。コンピューターの画面に使われる有機発光ダイオードや液晶テレビの品質向上にも寄与。さらに、農薬など日常的な製品に幅広く応用され、工業生産の縁の下の力持ちともいえる。
1979年に合成法を発表した鈴木氏は、北大初のノーベル賞受賞者となった。学内では発表直後に快挙の報が放送され、学生らから歓声が上がった。同日夜に鈴木氏は学内で会見。少し緊張した様子で喜びを語った。
知らせを受けたのは午後6時20分ごろ。「ワイフ(妻)が電話に出たが、外国人に英語が通じなかったのか、すぐ切られた。『アンビリーバブル(信じられない)なことが起こったのでは』と言ったら、『そんなことないでしょ』と(妻に)返された」と振り返った。
自身は堅実な研究者で、教え子には「重箱の隅をほじくる研究をするな。誰もやっていないような研究をしろ」と促す熱心な教育者でもある。時に「教科書に載るような発見をしろ」とハッパをかけた。酒好きで、以前は学生を連れてよく飲んだという。年1回、自宅に学生を招きジンギスカンパーティーを開き「飲んだら奥さんの話をする愛妻家」という横顔も持つ。
「森や水もある札幌は研究にはよいところです」と感謝した鈴木氏。「資源のない日本には、人間の頭しかない。理科系に、もう少し若い人が興味を持ってほしい」と現状を嘆きつつも「何歳まで生きられるか分からないが、若い人たちの役に立つ仕事がしたい」と語った。
授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金1000万クローナ(約1億2000万円)は3氏で分け合う。
◆鈴木 章(すずき・あきら)1930年9月12日、北海道むかわ町(旧鵡川町)生まれ。80歳。54年に北海道大理学部を卒業後、博士号を取得して59年に同学部助手。61年に工学部助教授。米パデュー大への約2年間の研究留学を経て、73年、北大工学部教授に就任した。94年に北大を退官後は北大名誉教授、岡山理科大教授、倉敷芸術科学大教授などを歴任。2004年に日本学士院賞を受賞。札幌市在住。
(2010年10月7日06時03分 スポーツ報知)
国内最大規模の携帯ニュースサイト。スポーツニュース速報のほか、旬の社会、芸能ニュースも満載。月額84円(税込)
巨人軍公式サイト。待ち受け画像や注目の選手情報など、シーズンオフも必見。「NEWS読売・報知」の全コンテンツも利用できて月額210円(税込)!
翌日朝掲載の釣果情報を当日夜に配信。厳選した指定船宿と協力店からの正確な情報や、船宿の自慢料理・仕掛けなど、実用的なメニューもご用意。月額210円(税込)
携帯初の競輪予想情報。グランプリやダービーはもちろん、関東・南関東を中心に各レースを徹底予測。月額210円(税込)