◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
ここまで登場したすべての振付師を振り返ってみると、やはり多いのは現役時代にアイスダンスの選手だった人々。リー・アン・ミラーやタチアナ・タラソワのようにペア出身、ローリー・ニコルやデイビッド・ウィルソンのようなシングル出身ももちろんいるが、選手人口からすれば圧倒的に「元アイスダンサー」の活躍率が高いことがわかる。やはりフィギュアスケート4種目のなかで、アイスダンスの選手は最も振付師向きなのだ。
ご存じのようにアイスダンスのエレメンツには、ジャンプがない。現在のルールではダンススピンやリフトなどの派手な技も増えたが、元々はプログラムのドラマ性、そしてステップなどスケート本来のテクニックで勝負しなければならなかった。だから曲想を人間の身体の動きで表すことの巧さに関しては、ダンサーが一段上。一つの音楽が表す世界を、いかに氷の上で自分の肉体を使って見せることが重要か、そのことがアイスダンサーの頭には常にある。
そのためには、音楽のビート、リズムもしっかりつかまえなければならないし、動きと動きをつなぐ間の取り方などもしっかり身につけなければならない。そして音楽を十分に表現するための武器として、ジャンプではなくエッジワーク、スケートそのものの滑りの魅力をとことん磨く。そうしたものを熟知しているスケーターたちから、素晴らしい振付師が生まれるのは必然と言えよう。
最後に、やはりアイスダンス出身、そして日本人振付師としてぜひ期待を寄せたい一人、宮本賢二を紹介したい。彼は01、02年のアイスダンス全日本チャンピオンで、世界選手権にも出場。現役時代はフランスで練習を重ねた、引退後は日本では珍しい専業振付師となり、たくさんの日本選手にプログラムを提供している。
昨シーズンは高橋のショートプログラム(SP)「eye」、鈴木明子のSP「ファイヤーダンス」で五輪選手の振り付けも担当し、コリオグラファーとしての才能を花開かせつつある存在だ。ただ、トップスケーターに振り付けた彼の作品を見てみると、その選手のすでに持っているイメージの延長線上で良いものを作りあげる、そんなプログラムが目立っているように思う。
例えば高橋ならば、ニコライ・モロゾフの作り上げた高橋のイメージを踏襲した上での作品。だから、宮本賢二のオリジナリティを見せてくれるのはまだまだこれからではないか、と考えている。トップスケーターを自分の色に染める、というところまではいかない。しかし一方で、若い選手たちと組む場合はまた違う。今シーズン新たにタッグを組んだ中村健人をはじめ、ジュニアの選手たちを相手にした場合には、宮本自身が作り上げるイメージで、彼が作りたいプログラムを作っているのではないかと思う。
その点では宮本も、これから世界に出ていく若手選手たちとともに成長し、国際舞台で活躍していく振付師なのだろう。努力も勉強もしているし、十分な能力もあり、まだ31歳。日本発のコリオグラファーとして、大いに活躍の場を広げていってほしいと思う。
(この項終わり。次回からのテーマはエキシビション&ショー)
(2010年9月21日15時49分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
国内最大規模の携帯ニュースサイト。スポーツニュース速報のほか、旬の社会、芸能ニュースも満載。月額84円(税込)
巨人軍公式サイト。待ち受け画像や注目の選手情報など、シーズンオフも必見。「NEWS読売・報知」の全コンテンツも利用できて月額210円(税込)!
翌日朝掲載の釣果情報を当日夜に配信。厳選した指定船宿と協力店からの正確な情報や、船宿の自慢料理・仕掛けなど、実用的なメニューもご用意。月額210円(税込)
携帯初の競輪予想情報。グランプリやダービーはもちろん、関東・南関東を中心に各レースを徹底予測。月額210円(税込)