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ノーベル文学賞、ペルーの作家バルガスリョサ氏に

2010年10月7日20時26分

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写真:マリオ・バルガスリョサ氏マリオ・バルガスリョサ氏

 【ストックホルム=伊東和貴】スウェーデン・アカデミーは7日、今年のノーベル文学賞を、ペルーの作家、マリオ・バルガスリョサ氏(74)に授与すると発表した。同アカデミーは授賞理由を「権力構造の『地図』を作り、個人の抵抗、反抗、挫折を鋭く描き出している」と説明した。

 賞金は1千万スウェーデンクローナ(約1億2千万円)。授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれる。

      ◇

 1936年、ペルー生まれ。マドリード大学に留学。59年に短編小説集「ボスたち」がスペインで出版。その後、パリでジャーナリストとして働く。63年に、軍人養成学校での体験をもとに、若者たちの目から社会の偽善や腐敗を告発した長編「都会と犬ども」を発表。緻密(ちみつ)な構成と縦横な文体で軍人養成学校の欺瞞(ぎまん)を描き、注目された。

 続いて長編「緑の家」(66年)では、貧富の差が激しく、さまざまな文化が混在するペルー社会を描いて高く評価され、ラテンアメリカ文学を代表する作家として確固たる地位を築いた。

 81年には、19世紀末にブラジル奥地で起きた宗教的な反乱を描いた「世界終末戦争」を発表。85年に国際文学賞リッツ・パリ・ヘミングウェー賞を受けた。

 長編に「ラ・カテドラルでの対話」(69年)、「パンタレオン大尉と女たち」(73年)、「アンデスのリトゥーマ」(93年)、「官能の夢 ドン・リゴベルトの手帖(てちょう)」(97年)などの作品がある。ガルシア・マルケス論やフロベール論などでも深い洞察力を示し、80年代に入ってからは戯曲も発表した。ロンドンやバルセロナでの生活を経てペルーに戻り、76年には40歳の若さで国際ペンクラブ会長に選ばれ、社会的な発言も続けている。

 90年に中道右派「民主戦線」から大統領候補に立ち、日系のアルベルト・フジモリ氏に決選投票で敗れた。

 「都会と犬ども」「緑の家」「世界終末戦争」「楽園への道」など多数が邦訳されている。

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