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環境への取り組み│Q&A
Q.古紙と木材パルプ、紙の原料として環境に良いのはどちらでしょうか?
A.
  原料が環境に配慮した木材であれば、古紙と木材パルプは同等の原料と言えます。
現在、わが国の製紙原料のうち、古紙の割合は約60%です。古紙を資源として有効活用することで木材資源が節約でき、ごみが減るので古紙を使用することは大切です。しかし紙の原料は植物繊維ですから、紙を繰り返し再生利用すると繊維は弱くなり、細かくなったものは紙に再生することはできません。そのため紙の再生時には木材パルプを新たに補給する必要があります。大切なことは、紙の品種ごとに高い古紙の配合を求めるのではなく、製紙業界全体で古紙をできるだけ回収し、利用に際しては古紙と環境に配慮した木材パルプを紙の品種に応じて使うことだと考えます。

(注1) バイオマス燃料 再生可能な生物由来(木材など)の有機エネルギーや資源のことで化石資源を除いたもの。
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Q.非木材を、紙の原料に使わないのはどうしてですか?
A.
  近年、草やわら、バガス(サトウキビの搾りかす)、収穫のすんだバナナの木、ケナフなどの非木材原料が注目されています。こうした非木材原料は、もともとは紙の発祥であり、昔から紙の原料として使われています。しかし、近代になって「パルプ製造方法の改革」「生産工程における省エネルギー」「高品質の追求」などから、マスプロダクションに進み、原材料の量的な確保の面などから、非木材は原料としてふさわしくなくなってしまいました。

非木材原料のなかで特にケナフについては、各方面からその優れたCO2吸収能力が環境改善植物として推奨されています。しかしケナフの利用には数多くの問題も残っています。それは、現在のパルプ化方法では使用しにくいこと、植え付け、収穫、貯蔵、運搬などにかかる労働負荷や環境負荷が、木材よりかなり悪くなることなどです。

ケナフは一年生草です。そのため毎年の植え付けと、刈り取り作業が必要です。例えば、王子製紙グループで計画している30万ヘクタール(淡路島の5倍)の植林に相当するケナフ畑を想定した場合、植え付けや刈り取りは、想像を絶する作業になってしまいます。また、ケナフは一年生草であるため、1年分の原料を一時期に収穫するわけですが、大変嵩高なために、マスプロダクションの工場で使用するには、運搬するための燃料や保管方法など、多くの困難な問題が発生します。さらに木材原料との混合パルプ化についても技術的にはむずかしいものがあります。

一部の途上国では、その地域の原料事情ゆえに非木材100%でパルプの製造を行っていますが、そこでは人件費が安く、品質要求レベルも高くなく、小規模の工場であるためにそうした生産が可能になっています。ちなみに工場規模が小さいほど、エネルギー効率や環境負荷の原単位は悪くなります。野原に草がむだに放置されていても、残念ながら直ちにそれが紙の原料に結びつけられるものではないのです。なお現在、わたし達の植林事業では成長の早い樹種を選定して植林するため、単位面積あたりのCO2吸収量はケナフと遜色ない程度になっており、ケナフを利用する理由がないと判断しています。
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Q.パルプを塩素で真っ白にまで漂白する必要があるのでしょうか。大体において日本の品質は、必要以上に高すぎるのではないですか?
A.
  私たちが最もよく利用するクラフトパルプは、漂白しなければセメント袋などに使用されるように茶色です。したがって漂白処理なしでは本やカタログなどの印刷用途としては、とても使えるものではありません。そのほか半晒しパルプというものもありますが、このパルプを使用した茶封筒などの紙は光によってかなり変色しやすいものですが、品質を我慢すれば印刷用途として使用可能ですし、読書可能なレベルです。ただし、半晒しといっても印刷用途に使えるレベルまで漂白すると、そこまでの漂白工程で完全漂白の場合の環境負荷のほぼ90%分ぐらいは排出してしまい、大きな環境改善効果は期待できないと言えます。ちなみに漂白剤としてかつては塩素を使用していましたが、王子製紙のパルプは塩素を使用しない漂白方法へ変更をすすめており、2006年には全工場で変更を完了しました。

さて、日本製品の品質レベルは紙に限らずほとんどの製品で必要以上に高い傾向があります。これは、企業間の熾烈な品質競争の結果であると言えます。紙が本になって最終的に消費者の手に渡るまでには、代理店、卸商、出版社、印刷業者、製本業者、書店などを経由しますが、製紙会社間の競争、出版社間の競争、印刷会社間の競争、といった具合に各段階で企業競争が起こり、消費者の要求レベル以上に過剰なスペックが追求されるからでしょう。エコ製品についても、日本では「低品質だが環境にやさしい製品」であるよりも「品質は今まで同様に高いけれど、環境にやさしい製品」が求められます。

しかし考え方を変えますと、製造業が「低品質だが環境にやさしい製品」で満足していたのでは発展がないことも確かです。企業が品質に妥協しないで「環境にやさしいけれど、品質が高い製品」を追求してこそ技術が向上しますし、日本の技術力を支えていると考えるべきでしょう。
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Q.王子製紙グループの割り箸リサイクル活動を初めて知りました。良い取り組みなので、もっと世間に広めてはどうでしょう。
A.
  使用済みの割り箸を資源化できるのは、王子製紙グループでも木材から化学パルプを製造する工場に限られています。そうした工場周辺では、すでにかなり活発に回収ボランティアによる回収が行われています。工場への運搬も社員が出勤時に運んだり、工場に出入りする業者が運んだりと、協力体制と効率化が進んでいます。しかし工場から遠い地域では、工場への搬入が容易でなく、定期的な移動車両を見つけて運んでいただいたり、集めた方々が宅配便で自費で送ってこられたりと、ご苦労をされています。

しかしわたし達は、基本的には割り箸の運搬のためだけの目的で、多くの燃料や費用を使って欲しくないと考えています。そのため、広く全国に呼びかけることはひかえています。この活動が成立する第一条件は、効率的な運搬方法があるかどうかです。木材だからといって紙へリサイクルするばかりではなく、近くでエネルギーとして利用されるところがあればそれも考えてください。インターネットを通じてこの活動はかなり広まり、毎年8月には割り箸リサイクル活動発祥の地・米子市で「全国割り箸サミット」が開催されています。
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Q.どうして産業植林が必要なのでしょうか?
A.
  中国など発展途上国の経済成長に伴って世界の丸太需要も増加しています。FAO(注2)によると、世界の全森林面積の約5%しかない植林地が、2000年には世界の丸太需要の約35%を供給しており、2020年には約44%を供給すると推測されています。天然林だけでは世界の木材需要に応えられません。持続可能な森林経営を推進するためには、木材の生産を目的とする植林「産業植林」が不可欠です。

(注2) FAO Food and Agriculture Organization 国連の食糧農業機関。
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Q.なぜ紙の原料とするための産業植林として、ユーカリ(早生樹)を植えるのでしょうか?
A.
  植林はまず土地を確保し、整地して、農業と同じように土地を耕耘してから苗を植えます。その後、苗がある程度の大きさに育つまでに、除草や施肥などの管理が必要です。つまり植林時とその直後に投資が集中します。植林コストを抑えるためには5〜15年で伐採のできるユーカリのような成長の早い樹種(早生樹)を植える必要があるのです。ユーカリは種類が多く、植林する土地の土壌や気温、降雨量に適した種類を選ぶことが可能で、植林適地が極めて広く、適地適木がしやすいことも特徴です。またユーカリは繊維が短く細いため、表面が滑らかな印刷用の紙を作るのに適しています。
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Q.ユーカリ(早生樹)産業植林の、環境への影響は?
A.
  わたし達が産業植林をおこなう海外の土地は、牧場の跡地、木の生えていない丘陵地、焼畑跡の荒廃地などです。このような土地に植林をすれば、生物多様性を回復し新たな生態系を作り出すことが可能です。早生樹の植林は、土壌の水分や栄養分を奪うと言われますが、どんな木や農作物でも、植えればそうした現象は起こります。ユーカリよりも水分や栄養をたくさん必要とする作物もあり、ユーカリが特別そうだとは言い切れません。

産業植林は、森林が元気に何回も再生することが大切です。当社はその土地に合った植林をし、伐採した後も植林または萌芽更新(切り株から何本も出てくる芽の中で大きい数本を育てる)をさせて、同じ場所に何度も健康な森林を作る努力をしています。早生樹の植林は、適地適木、適切な育林作業や伐採作業などをすることにより、経済的、生態的、社会的に持続可能であると考えます。

具体的な環境貢献の成果も出ており、わたし達の西オーストラリア州のユーカリ植林(APFL社)では、地元政府から植林が塩害(注3)防止、土壌浸食防止などの面から、貢献が評価され、1995年に「西豪州土地環境貢献賞」を受賞、現実に植林により河川また海外の植林地では、持続可能な森林経営を推進するため森林認証(注4)の取得を進めています。

(注3) 塩害 豪州では、特に1900年代に入って急速に森林が切り開かれ、牧草地、農地に転換されました。これにより、木の水分蒸散作用がなくなり、地下水が地中に蓄積されていた塩分とともに地表に徐々に上昇し、牧草も育たない土地、塩分濃度の高い河川が急速に広がっています。こういう地域では植林がこの対策として評価されています。
(注4) 森林認証   森林が持続可能な森林経営の基準通り良好に管理されていることを、独立した第三者機関が評価、認証すること。
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Q.国内にも森林がたくさんあるのに、どうして海外で植林するのでしょうか?
A.
  日本の森林の蓄積は増加しつつありますが、これは主に戦後植林された、スギ、ヒノキ、カラマツ、トドマツ、エゾマツなどの針葉樹が成長したことによります。これらの人工林の伐採に適した樹齢は50年〜90年で、まだ伐採できるものは少ないと言えます。また、日本の森林は急峻な斜面が多く、林道密度も低いことや、一般森林所有者の所有形態が零細なため、機械化などによる効率的な作業が容易でない状況です。一方、海外で植林しているのはユーカリなどの広葉樹が中心です。海外では平地が多く、植栽作業、伐採作業、森林管理などの作業能率が高いことから、国内より経済的な植林が可能です。
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