2010年8月14日 20時13分 更新:8月14日 22時5分
第二次大戦中、空襲を受けた東京や大阪など約25都市の被害者らでつくる全国組織「全国空襲被害者連絡協議会」が14日、発足し、東京都台東区で結成集会が開かれた。各地の遺族会など約20団体が参加し、被害を補償する「空襲被害者等援護法」の制定や被害実態調査の実施を政府や国会議員に働きかけていく。
戦時中、全国100以上の都市が米軍の空襲を受け、死者は原爆を含み50万人を超えるとされる。協議会に参加を表明したのは、東京や大阪のほか▽青森▽横浜▽名古屋▽岡山▽高知▽長崎・佐世保▽沖縄--などの遺族会や市民団体。和歌山や山口などからは約10人が個人参加した。
この日、集会には計約300人が出席。共同代表5人の一人で、国に損害賠償と謝罪を求める東京大空襲訴訟の弁護団長、中山武敏さん(66)が「軍人・軍属は救済される一方、民間の空襲被害者を救済する制度はなく、苦しみは今も続く。救済法を実現する必要性をそれぞれが訴えてほしい」とあいさつ。
名古屋空襲で左目を失った全国戦災傷害者連絡会長の杉山千佐子さん(94)は「40年前から救済法制定を国会に訴えてきたが、かなわなかった。今はほとんど寝たきりだが、法制化されるまで死ねない」と訴えた。
空襲の経験はないが、昨年11月に戦争証言集「千葉市大空襲とアジア・太平洋戦争の記録 100人の証言」を出版した元千葉県職員、伊藤章夫さん(68)も運営委員として参加。「さっそく地元の市民に協力を訴え、救済法制定への署名活動を進めたい」と話していた。【森禎行】