2010年8月14日 19時0分 更新:8月14日 20時0分
中国人の日本に対する印象が改善すると同時に、中国人が自国民のナショナリズムや反日行動を「(日中)両国関係の発展を妨げる」と考えるようになっていることが、日本の非営利組織「言論NPO」(工藤泰志代表)と中国の中国日報社が6~7月に日中両国で実施した調査で明らかになった。中国人が歴史問題やナショナリズムの問題について冷静に受け止めるようになっていることが背景にあるとみられる。
相手国に対する印象について、日本側は計72%が「どちらかといえば良くない」や「良くない」と答えて横ばい傾向を見せた一方、中国側は同じ回答が計55.9%で、前年より9.3ポイント下がった。
「両国関係を妨げるもの」(三つまで回答)に関する質問では、中国側で「中国国民のナショナリズムや反日行動」を挙げた人が前年より9.2ポイント増えて19.9%となり、「日本国民のナショナリズムや反中行動」(11%)を選んだ人を上回った。高原明生・東大教授(現代中国政治)は「中国国民の間で、自国民のナショナリズムや反日行動を問題視する人が増えていることは、中国人がより客観的に(日中関係を)見られるようになったという変化を感じさせる」と指摘している。
「相手国について思い浮かべるもの」(三つまで回答)について中国側は「電器製品」がトップで、08年以来トップだった「南京大虐殺」を上回った。
調査は05年から毎年実施され、今回は日本側の1000人、中国側で北京、上海、成都など5都市の1617人から回答を得た。【工藤哲】