2010年8月12日 21時10分 更新:8月12日 23時3分
9月末にも召集される見通しの臨時国会では、預金保険機構理事長などの同意人事案件を巡り、政府・民主党が対応に苦慮することになりそうだ。年内に14機関42ポストの人選が必要になるが、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」の下、野党も同意する人材を提示しなければならない。政権交代前のねじれ国会では、民主党は日銀総裁人事を2度不同意にするなど、自公政権を揺さぶる材料として徹底的に活用したが、今や攻守逆転した格好だ。
同意人事は予算案や条約と違い、衆院の優越規定がなく、参院で不同意となれば白紙に戻る。民主党は野党時代の07年8月から09年7月の約2年間のねじれ国会で、日銀総裁や同副総裁、人事官など9機関28人の人事に不同意を突き付けた。特に日銀は約3週間にわたって総裁が空席となる異常事態となり、当時の福田康夫政権を弱体化させた。
現在、すでに任期切れとなっているのは、預金保険機構理事長や証券取引等監視委員長など4機関7ポスト。特に、預金保険機構理事長と同理事の2ポストは、後任が決まるまで前任者が職務を続ける規定がないため空席となっている。また、今後、年末にかけて宇宙開発委員会委員など10機関35ポストの任期が次々と満了する。
菅直人首相は5日の参院予算委で、野党時代の対応について「政権を追い込むことを念頭に置いた行動がいくつかあった。反省すべきところはきちっと反省したい」と答弁。仙谷由人官房長官も7月28日の記者会見で「ただひたすら(野党に)説明し、頭を下げる」と語った。もっとも、仙谷氏は民主党の国会同意人事検討小委員会の委員長として不同意を連発していただけに、バツの悪さは否めない。
今のところの救いは、自民党の谷垣禎一総裁が「日銀総裁のポストがいつまでも埋まらないような対応はできない」と柔軟な構えを見せていることだ。ただ、福田政権の官房長官を務めた町村信孝氏は「民主党は重要な人事を政争の具に使った。当時のやり方を自己批判してから話を進めるべきだ」と語るなど、民主党への不信感は根強い。【坂口裕彦】