不明高齢者:100歳以上大阪市で63人 127歳は死亡

2010年8月12日 12時3分 更新:8月12日 13時38分

 100歳以上の高齢者の所在不明問題。12日、大阪市で計63人の所在が確認できていないことが明らかになった。同日会見した大阪市は当初、「最高齢は127歳男性」としていたが、会見中「127歳男性は死亡が確認された」と訂正。さらに、その後、“最高齢”となった「123歳女性」についても、同日昼、「死亡確認」とするなど混乱した。市は「すみやかに削除手続きを進める」としているが、正常化にはまだ時間がかかりそうだ。【小林慎、曽根田和久、堀文彦】

 市が当初、所在を確認できないとしていた「127歳男性」。住民票のある西成区役所は00年の介護保険施行時に所在不明を把握していた。この住所は現在、道路予定地の更地となっており、市は最高齢の「行方不明者」として発表する予定だった。だが12日朝になって、死亡が判明。死亡したのは、40年以上も前の1966年7月だった。

 死亡届は当時、浪速区に出され、本籍地の旧大淀区(現北区)が戸籍を抹消。しかし西成区で抹消されるはずの住民票が残されたままだった。市は「旧大淀区が西成区へ連絡しなかったのか、連絡を受けた西成区が削除しなかったのかは不明」と説明するが、住民登録を巡るずさんな対応が改めて浮き彫りになった格好だ。

 また、今回の調査では、所在を確認できた家族が「(高齢者の)行方が分からない」としたケースもあった。都島区の100歳女性については、住民票の住所に長女が今も住んでいるが、家族が「35年前から所在不明になっている」と説明。東住吉区の100歳男性も、住民票の住所に家族が住んでいたが、「幼いころから別居しているので分からない」と話したという。

 このほか、区役所が以前から所在不明を把握していたのが、市内の全不明者の7割以上になることも判明。削除できない外国人登録を除いては、区役所内の介護保険担当者と住民登録担当者の連絡が行き届かなかったのが原因だった。

   ◇

 今回の大阪市の調査について、大阪府の橋下徹知事は12日、記者団に「徹底した所在確認ができないなら基礎自治体として大政奉還しなければいけない。基礎自治体として成立していないことを認めるべきだ」と述べた。

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