2010年10月7日13時55分
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【ニューヨーク=山中季広】米有力誌ニューズウィークの経営権売却額がわずか1ドル(約83円)だったことがわかった。AP通信が6日に報じた。同誌は米紙ワシントン・ポストが所有していたが、8月に「JBL」「インフィニティ」などの音響各社を経営するシドニー・ハーマン氏(92)との間で経営権売買の合意がまとまった。
明らかになった売買条項によると、同誌の買い取り価格は1ドルちょうど。推定1千万ドル(8億3千万円)に達した負債や同誌社員の年金もポスト紙側が負担する。一方、ハーマン氏は、ポスト紙側が求めた(1)同誌社員約300人の大半の雇用を維持し、(2)雑誌発行とニュースサイト充実を続ける、などの条件を受け入れたという。
同誌は1933年創刊で、61年にポスト紙が傘下に収めた。質の高い報道を続けてきたが、部数減で広告収入が落ち、昨年は3千万ドル(約24億9千万円)近い赤字を出していた。ハーマン氏は買い取り発表時に「ニューズウィークは国の宝。経営を引き継ぐことができて非常にうれしい」とコメントした。