I社の総務担当N嬢より電話がきた。30歳の男性社員A氏の被扶養者である父親が間もなく65歳になるという。(母親はすでに亡くなっている)I社はある健保組合に入っているのだが、社員A氏の健康保険料額が変わるかという質問である。 介護保険の被保険者は、以下の2種類にわかれる。
現在I社の社員A氏は、30歳であるので、介護保険の第1号被保険者でも第2号被保険者でも無いのに、介護保険料を負担している。それは、I社が健康保険組合に加入しており、A氏の被扶養者の父親が介護保険の第2号被保険者に該当するからである。 「たいていの」健康保険組合は、介護保険第2号被保険者ではない被保険者で、 介護保険第2号被保険者を健康保険の被扶養者にしている人(特定被保険者という)から、介護保険料を徴収している。健康保険法附則7条1項で、それがゆるされているからだ。(「たいていの」と書いたのは、うちの顧問先の健保組合が全てそうであるが、統計的裏づけがないことによる。ご容赦ねがいたい) 参考法令:健康保険法附則 (特定被保険者)第7条 健康保険組合は、第156条第1項第2号及び第157条第2項の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、介護保険第2号被保険者である被保険者以外の被保険者(介護保険第2号被保険者である被扶養者があるものに限る。以下この条及び次条において「特定被保険者」という。)に関する保険料額を一般保険料額と介護保険料額との合算額とすることができる。 さて、社員A氏の父親は65歳になると、介護保険の第1号被保険者となる。A氏の父親は市区町村より直接介護保険料を徴収されることになるわけである。 そうなると、A氏は父親の介護保険料を肩代わりする「特定被保険者」でなくなるため、健康保険料は一般保険料額だけになる。健康保険料額は、今までより下がることになる。 その旨、総務担当のN嬢に話すと、なるほどと話を聞いていたが、そのうちに「お父さんの保険料負担がかわいそう」などという話になった。まあ、確かに64歳までは介護保険料を息子に払ってもらっていたのに、1歳年を取っただけで、自分で負担しなければならないというのは、少々問題があるように思う。 今まで厚生年金に長期に加入していたなどで年金額が多いとか、土地や有価証券をたくさん持っていて不労所得があるとかの「恵まれた老後」であればよいのだが、国民年金だけの収入しかないとか、最悪、無年金者だったりする場合が大変であることは確かだ。 そのうち介護保険料の徴収の制度の見直しも必要になるのではなかろうか。 ■本日の仕事 I社労務相談 就業規則改正の打ち合わせ S社労務管理体制改善の提案 ■怒りの鉄拳指数 2 怒り(小)→怒り(大) 1 2 3 4 5 |
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