ロ閣僚に「禁煙命令」　プーチン氏、副首相も叱る

　【モスクワ＝酒井和人】喫煙大国ロシアのプーチン首相が、五日の政府幹部会で国を挙げて節煙対策に本腰を入れる考えを示し、手始めとして、たばこを吸う全閣僚に禁煙するよう命じた。

　六日付のロシア新聞などによると、同首相は幹部会に出席した閣僚に「吸うのは誰だ」とたずね、挙手した数人に「禁煙するだろうね」と迫った。喫煙者の一人、イワノフ副首相が思わず苦笑いしたところ「君も禁煙するんだ」と怒気を込めて言い放ったという。

　幹部会で報告されたロシアの喫煙率は全人口の３９・１％に上り、世界一。喫煙に伴う疾患で年間四十万人が死亡している。

　喫煙大国を支えているのが一箱二十五ルーブル（約七十円）前後という低価格で、政府は今後、たばこ税の段階的引き上げや、たばこ広告の全面禁止などを検討していく。

　ロシアではメドベージェフ大統領が昨年来、節酒対策に乗り出し、女性やインテリ層を中心に支持されている。節煙促進は二〇一二年の次期大統領選をにらんだプーチン首相のアピール策との見方もできそうだ。