2010-04-10
第35章から第36章まで
第35章 一輪の秘密[35]
厳の御魂はシナイ山の戦闘で魔軍を潰走せしめ、ひとまづ竜宮城へ凱旋した。
一時は神界も平和に治まった。
魔軍は影に隠れ、再挙を試みる計画をしていた。
魔軍の恐れるものは三個の神宝である。なので珠を奪う計画を立てていたのである。
国常立尊は、山脈十字形をなせる地球の中心蓮華台上に登り、四方の国方を見はなし、天に向かって神言を奏上し、頭上の冠を握り、これに神気をこめて海上に投げやった。
冠は水中に落ちて、一孤島を形成した。これを冠島という。
冠の各処より稲が生じ、米も豊かに実るようになった。ゆえにこの島を稲原の冠といい、または茨の冠ともいう。
つぎに大地に向かって神言(かみごと)を奏上し、履いている沓(くつ)を握り海中へ投げた。
沓は一孤島を形成した。これを沓島という。
冠島は一名竜宮城といい、一孤島を形成した。
国常立尊は、この両島に神宝を秘め置かせた。
潮満の珠は、厳の御珠と言う。
「いづ」とは泉のいづの意であって、泉のごとく清鮮なる神水の無限に湧出する宝珠である。これはヨハネの御魂とも言う。
潮干の珠は、これを瑞(みづ)の御魂といい、またキリストの御魂ともいう。「みづ」の御魂は「みいづ」の御魂の意である。「みいづ」の御玉氏は無限に火の活動を万有に発射し、世界を清める活用である。
要するに水の動きは火の御魂があるがゆえであり、また火の燃えるのは水の精魂があるからである。
しかし火は天にして、水は地である。故に天は尊く地は卑い。
ヨハネが水をもって洗礼を施すのは、体をさして言う詞にして、尊き火の活動が隠されているのである。
またキリストが霊(霊は火)をもて洗礼を施すというのは、キリストの体をいうものにして、その精魂の水である。
稚姫君命、大八洲彦命、金勝要大神は、三つの神宝を各自に携帯し、船に乗り、竜宮ヶ嶋へ渡った。
そして、大宮柱太敷立に、潮満の珠、潮干の珠と共にこの宮殿に納めた。
潮満の珠の又の名を豊玉姫神といい、潮干の玉の又の名を玉依姫神と言う。
潮満の玉は紅色を帯び、潮干の玉を純白色である。
国常立尊は冠島の国魂の神に、この神宝を永遠に守護するようにと命じた。
この島の国魂の御名は海原彦神といい、又の御名を綿津見神という。
次に沓島に渡り、真澄の珠を永遠に納めた。
国の御柱神にこれを守護するように命じた。
いずれも、世界の終末に際し、世界改造のため大神の御使用になる珍(うづ)の御宝である。
しかしこれを使用される御神業がすなはち一輪の秘密である。
この両島はあまたの善神皆竜と変じ、ワニと化して四辺を守り、他神の近づくのを許されないのである。
第36章 一輪の仕組[36]
国常立尊は邪神に神宝を奪取されないように、大八洲彦命、金勝要大神、海原彦神、豊玉姫神、玉依姫神、国の御柱神たちにも極秘で、三個の珠の体のみを両島に納めておき、肝心の珠の精霊をシナイ山の山頂へ、何神にも知らめずして隠し置かれた。
これは大神の深甚なる水も漏らさぬ御経綸であって、一厘の仕組とあるのはこのときを指したまえる神示である。
武熊別という神人は元は、邪神ではなかったが、三つの神宝の隠し場所を知り、にわかに心気一転して、これを奪い、天地を我が物にしようと野望を抱くようになった。
そこで、竹熊と協力し、魔軍を引き連れて両島に船で攻めて行った。
海原彦神も国の御柱神も、魔軍の計画など露知れず、眠っていたが、群鳥の騒ぐ羽音で目覚め、竜神の神軍に防御軍、攻撃軍を組織し、対抗戦に着手した。
しかし、既に竜宮嶋近くに押し寄せてきている為、味方の竜神の旗色は悪い。
海原彦神は百計尽きて、大神より預かっていた、潮満、潮干の珠を取り出し、水火を起こして、敵を殲滅せしめようと思い手にとり神息をこめ、力のかぎり息吹を放ったが、神力は少しも顕れず。
それは肝心の精霊が抜けているからである。
国の御柱神は、この戦況を見て、大八洲彦命に救援をお願いした。
このとき地の高天原も、竜宮城も黒雲に包まれ、荒振神(あらぶるかみ)どもの矢叫びは天地も震撼せむばかりであった。
金勝要大神は秘蔵の玉手箱を開き、金幣を取り出し、天に向かって左右にうちふり給うと、一天たちまち晴れ渡り、日光燦爛として輝きわたった。
更に金幣の一般を取欠きたまい信天翁(あはうどり(使いの鳥))の背に堅く結びつえ、返書を足に縛って、放たれた。
信天翁が敵軍の上空を通ると、火弾の雨がしきりに降り注ぎ、東北の天よりは黒雲現われ、幾百千とも限りなく高津神現われて来て、旋風をおこし、敵艦を中天に巻き上げ、海底に沈没した。
国常立尊はこの戦況を目撃遊ばれ、敵ながらも不憫に思い、大慈大悲の神心を発揮し、シナイ山にのぼりて神言を奏上した。
すると、一天に晴れ渡り。金色の雲現われ、風、波は静まり、一旦沈没した敵の戦艦も海底より浮き上がった。
このとき両島の神々も、諸善竜神も、竹熊も一斉に感謝の声をはなち、国常立大神の至仁至愛の恵徳に心服せずにはいられなかった。
広く神人を愛し、敵を敵とせず、宇宙一切の衆生にたいし至仁至愛(みろく)の大御心を顕彰したまふこそ、実に尊き有難ききはみである。
176Pまで。
かなまら 2010/04/11 17:27 続き楽しみにしてます。