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【40×40】諸星清佳 千載一遇のチャンス逃した日本
いやー、今年も中国はやってくれますなあ。尖閣問題については、「1960年代の自国の地図を見てみろ」とだけ中国に申し上げておく。
それにしてもアメリカのアーミテージ元国務副長官の見方は鋭いね。日米同盟がぎくしゃくしているなか「中国は日本を試している」のは明らかだろう。概して欧米人が中国人の行動の本質を見抜くのは、彼らの発想や行動様式がよく似ているからである。現代中国の日本人研究者がしばしば予測を外すのに、欧米人研究者がピタリと当てるのはそのためだ。
ひとつ譲ると、それに付け込んで、10も20も譲らせようとするのが中国人の体質である。だから安易に譲ってはいけません。船長を返しても中国側は妥協せず、強気の主張を全く変えないだろうと思っていたら、案の定、そうなった(その後、軟化の兆しも見られたが…)。交渉は互いに譲り合って成立するものなのに中国はそれを理解していない。
「革新的」で有名な某地方紙の社説が、安全保障の問題を論じるのに、尖閣の「せ」の字も出てこないのにはびっくりした。「国際情勢の変化や不安定要因に対する方策は軍事力だけではない。外交や経済、文化など幅広い分野の交渉を組み合わせることで緊張緩和につなげたい」んだって。ごめんで済んだら警察はいらないとよく言うが、軍事力の裏付けのない外交をやったって、どこの国も相手にしてくれませんよ。こういうのを「お花畑思想」と呼ぶ。
中国のやり方をまねることで、相手の誤りを自覚させるという手もある。実際、ガス田問題など、中国と共同開発しようなどと思わないで、日本も同じ場所で、独自にガス田を開発すればいいのである。
それにしてもばかだねー、日本政府は。船長釈放まで中国は日本の態度に明らかにおびえていたのに…。中国の強い姿勢に日本が初めて譲らないので中国は困惑していた。日本外交、千載一遇のチャンスだったのに。(ジャーナリスト)