2010年10月6日15時0分
空自機のほか海自機、民間航空機などと共用している手狭な那覇基地の実情に加え、米軍基地が集中する沖縄の基地負担に配慮し、部隊を完全に那覇基地に移すことは見送り、一定期間、三沢基地から那覇基地に展開する「ローテーション」配備にとどめる方針だ。
空自幹部は「三沢基地を拠点に北海道周辺のロシア機への警戒監視も引き続き必要だ。部隊ごと沖縄へ移すことはしない」と話している。
南西諸島周辺では07年9月、中国軍の中距離爆撃機が東シナ海で日本の防空識別圏に入って日中中間線付近まで飛行したり、今年3月には同じ東シナ海でY8早期警戒機が飛行したりするなど活動が活発だ。09年度に沖縄を拠点とする空自南西航空混成団の所属戦闘機が緊急発進(スクランブル)した回数は101回で、過去5年で最も多かった。
「南西諸島の海空域の警戒・監視の充実」は年末までに策定される新たな防衛計画の大綱でも重要項目の一つとして位置づけられ、首相の私的諮問機関「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の報告書も、離島の周辺海空域での警戒監視の強化を答申している。
防衛省は8月31日に締め切られた11年度の概算要求の中で、日本近海での中国軍の活発な活動を念頭に、沖縄県・与那国島などに陸上自衛隊を配備するための調査費(3千万円)を計上するなど南西諸島の警戒監視の強化を打ち出している。(土居貴輝)