2010年10月6日15時0分
防衛省は航空自衛隊三沢基地(青森県)に配備されているE2C早期警戒機を、定期的に空自那覇基地(那覇市)に展開させ同基地を拠点に一定期間運用する検討を本格的に始めた。中国漁船の衝突事件が起きた尖閣諸島をはじめ南西諸島に低空で航空機の侵入があった場合、沖縄県・宮古島にある最西端のレーダーでは捕捉できないためだ。ただ、沖縄の基地負担が増えないように常駐配備は見送る方針だ。
領空侵犯を警戒するため空自は、全国28カ所に置かれたレーダーサイトとE2C早期警戒機、E767早期警戒管制機などにより24時間態勢で日本周辺の空域を監視。最西端にあるレーダーが沖縄本島から約300キロの宮古島に置かれている。
ところが、例えば、宮古島から約210キロ離れた尖閣諸島の上空では、低い空域に航空機が侵入してきても、水平線の下になり宮古島のレーダーで探知できない「死角」が生じてしまう。防衛省幹部によると、尖閣諸島上空では高度約2千メートル以下の空域が死角になっているという。宮古島から約230キロ離れた日本最西端の与那国島周辺でもほぼ同様という。
このため、機体背面のレーダーで数百キロ離れた超低空での機体の動きを上空から探知できるE2Cを3機程度、定期的に三沢基地から那覇基地に展開し、上空から南西諸島の監視を強化する検討を本格的に始めた。沖縄側に部隊展開への理解を求め、できるだけ早期に実施したい考えだ。
防衛省によると、南西諸島では沖縄本島以外には陸上自衛隊の常駐部隊がおらず、宮古島以西は「防衛上の空白地帯になっている」(同省幹部)という。E2Cの展開は、9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船と石垣海上保安部の巡視船の衝突事件の前から検討が進められていたが、省内では事件後、海上だけでなく周辺の空域の警戒監視も一層警戒すべきだとの意見が強まっている。