2010年10月5日(火)「しんぶん赤旗」

小沢氏強制起訴 当然の市民感覚

4億円の原資は

説明変転 信用できぬ


 民主党の小沢一郎元幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入事件は4日、検察審査会の議決を経ての「強制起訴」という新たな局面に入りました。くるくると変わる小沢氏の説明と巧妙な偽装工作に、市民は大きな疑念を抱いていることが浮き彫りになりました。(矢野昌弘)


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(写真)小沢一郎氏の強制起訴を決めた検察審査会の議決書=4日

 土地購入資金の4億円について小沢氏は当初、「献金してくれた皆様のお金」と説明。その後、「金融機関からの借り入れ」、「家族名義で積み立ててきた個人資産」と説明は二転、三転してきました。

 こうした説明に東京第5検察審査会は「4億円の出所について、被疑者の当初の説明は著しく不合理であって(中略)変更後の説明も著しく不合理なものであって、到底信用できないもの」と指摘。

 そして「出所について明らかにしようとしないことは、被疑者に収支報告書の不記載、虚偽記入に係る動機があったことを記している」と、4億円の原資が事件の核心であることをのべています。

 さらに審査会が着目したのは、不可解な土地の購入手続きです。

 問題の土地は、2004年10月29日に小沢氏の手持ち資金で購入されました。

 ところが同日、陸山会の定期預金4億円を担保にして、銀行から4億円を借り受けていました。

 支払うだけの資金があるのに、小沢氏は、検察からの事情聴取に対し、銀行の融資申込書に「石川知裕被告から特に説明を受けることなく、求められるままに署名した」と主張しました。

 しかし、議決は「借り入れる必要は全くなかったわけであるから、年間約450万円もの金利負担を伴う債務負担行為の趣旨・目的を理解しないまま、署名・押印したとの点については、極めて不合理・不自然」と批判し、小沢氏が虚偽記載を了承していた可能性を強く指摘しました。

 今回の議決文を貫くのは「4億円の原資は何か」という市民の素朴な疑問です。

 小沢氏をめぐっては、岩手県で建設中の胆沢ダム本体工事の受注をめぐり、中堅ゼネコン水谷建設から計1億円が小沢氏側に渡ったとする証言を「しんぶん赤旗」日曜版がスクープしています。

 依然としてなぞに包まれた原資の解明へ―。市民の厳しい目はそこに注がれています。


地元も「当然だ」

「今度こそ真実語れ」

 検察審査会の起訴議決をうけ、小沢一郎民主党元幹事長の地元岩手県でも「起訴議決は当然」との声があがっています。

 小沢氏側は地元岩手県で、「公共工事受注」をちらつかせながら建設業者にカネも票も出させ、「小沢王国」と言われるほどの強い影響力をつくり上げました。

 小沢氏の選挙を支援する地元建設業者でつくる「一建会」の元会員で小沢氏側に献金もしてきた建設業者は、「小沢さんはこれまで、一点の曇りもないと言ってきたが信用できなかった。実際に工事が受注できるから業者はカネも出したし選挙で人も出した。今度こそ法廷の場で真実を自ら語るべきだ」と怒りをこめて言いました。

 日本共産党の斉藤信岩手県議は「小沢氏疑惑の核心は公共工事での『天の声』を力に献金を集める腐敗と癒着の構図にあることが、西松建設事件での公判でも明らかになりました。岩手県では、利権の温床になった大型ダムなどのムダな公共事業が今も進められており、これをやめさせるために引き続き力をいれたい」と話しています。(阿曽隆)





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