保護責任者遺棄致死罪など4つの罪に問われ、裁判員裁判の東京地裁判決が「致死」部分を認めず懲役2年6月とした元俳優押尾学被告(32)が4日、東京・小菅の東京拘置所から約10カ月ぶりに保釈された。これまで9回の保釈請求はいずれも却下された押尾被告だがこの日、東京高裁(岡田雄一裁判長)が、被告側の保釈請求を却下した地裁決定を取り消し、保釈を認めた。押尾被告側は保釈保証金1千万円を現金で納付した。
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昨年12月7日の再逮捕から301日。押尾被告は4日夜、拘置所を出た。詰め掛けた100人を超える報道陣に一礼したが、何も語らなかった。
午後7時半すぎ、約10人の拘置所職員に付き添われて現れた被告は、肩までの長髪をなびかせ、黒いスーツにワイシャツ姿。無数のフラッシュを浴びると、みけんにしわを寄せて表情をこわばらせた。「何かひと言」と問われたが、無言のまま、弁護人とタクシーの後部座席に乗り込んだ。
被告は午後3時ごろから接見に訪れた松本修弁護士と保釈請求の結果を待った。午後4時ごろに保釈が認められ、弁護人が用意した保釈金1000万円を支払い、午後7時半、保釈された。保釈後に向かったのは都内の弁護士の事務所。午後9時半ごろ、事務所を出たところでテレビカメラに囲まれたが、マスコミには無言。ファンと名乗る男性から「頑張ってください」と声を掛けられると「ありがとう」と握手に答えた。シャバでの“第一声”だった。
松本弁護士によると、保釈を認められたことを聞いた被告は「本当によかった」と笑みをこぼし、ほっとした表情で喜んでいたという。
被告は9月17日に懲役2年6月の実刑判決を受けて、即日控訴。同22日に9度目の保釈申請をしたが却下され、同29日に東京高裁に抗告していた。
被告は拘置所の中で世界各国の司法制度について勉強していたといい、保釈申請が却下された直後には「諸外国と比べて、なぜ日本の保釈はこんなに厳しいのか?司法のアメリカ化を目指すなら保釈制度もそうするべきだ」と憤っていたという。
保釈後は、段ボール5個の荷物とともに保釈の条件とされる都内の実家へと向かったとみられたが、混乱を避け、4日中は帰宅しなかった。