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秋になると脂が乗ってサバがおいしくなる。しめサバや塩サバなどが食卓をにぎわすが、四国の最南端、足摺岬の沖で取れる「土佐の清水さば」は、刺し身で食べると極上の味だ。サバは新鮮でもアレルギーが心配で生食は敬遠されるが、「清水さば」は安心という。その秘密を探りに、高知県土佐清水市を訪ねた。
土佐くろしお鉄道を中村で降りて、西南交通バスに揺られること2時間弱。大阪を午前中にたって、足摺岬にたどり着いたら夕暮れだった。長時間かけて来たのは、おいしいサバの刺し身が食べられると聞いたからだ。
訪ねたのは民宿「足摺はっと」。出迎えてくれたご主人の北代博さん(67)は早速、まな板にサバをのせて包丁でさばき始めた。サイズは43センチ、800グラムで「清水さば」の中でも大きい方。「今日釣って、しめたのが3時間前」(北代さん)と鮮度も抜群だ。その赤い身を、わさびじょうゆにつけて口に運ぶと、舌の上でとろける。軟らかいだけでなく、身自体にまろやかなうま味がある。
「サバを生で食べることを皆さん知らないから、ここで食べて感動する。生で一回食べると、リピーターになってくれます」と北代さん。サバは鮮度の維持が難しく、都会暮らしでは加工品しか食べられないだけに、初めての生サバには確かに感動した。
午前8時過ぎ、清水漁港に漁を終えた漁船が戻ってくる。漁師さんが船のいけすからサバをすくうと、網を受け取った漁協の職員が、冷却水槽のある棟へ全力で走る。サバを死なせないためだ。
土佐清水漁協が「土佐の清水さば」のブランドで出荷するのは、足摺岬沖で取れるゴマサバのうち、立て縄漁法で一本釣りされ、重量600グラム以上。しかも生きたまま漁港に運ばれてきた活魚だけ。以上の条件をすべて満たさなければ主に加工される。活魚は水槽で生かして出荷直前にしめるなど鮮度を管理しているが、安心して生食できる理由はそれだけではない。
漁協の和田伊生(いくお)常勤理事(63)は「高知大学の研究と調査で、ここのサバにはアレルギー物質がないことが立証されている」と胸を張る。また、寄生虫もいないのは「根付きサバだから」と和田さん。サバは日本近海を回遊するが、足摺岬沖のゴマサバは回遊せず、寄生虫がいる海域へ行かないから安全だという。
ちなみに昨年度、同漁港で水揚げされたサバのうち、活魚の「清水さば」で出荷されたのは約3%。そのため県外の料理店などでは、刺し身1尾5000円前後が相場だが、和田さんは「それでも関サバの半値以下ですよ」。現在、漁協では足摺半島の観光ホテルに「清水さば」を常時配達する態勢を取っており、現地へ行けば極上の刺し身が味わえる。
◆問い合わせ 「土佐の清水さば」が食べられる施設については土佐清水市TEL0880・82・1111(代)の観光課か水産商工課、土佐清水漁協TEL0880・82・1221へ。休日は土佐清水市観光協会TEL0880・82・3155へ。
◆民宿「足摺はっと」 1泊2食7000円。夕食では「清水さば」の刺し身が付く。所在地は土佐清水市足摺岬641の1(TEL0880・88・0753)。
(2010年10月6日11時32分 スポーツ報知)