原監督、坂本に異例の極秘マンツーマン指導

坂本（右）への極秘打撃指導のため、室内練習場に現れた原監督（左）

　巨人・原辰徳監督（５２）が６日、東京・よみうりランド内のＧ球場室内練習場で、報道陣を完全にシャットアウトして坂本勇人内野手（２１）に異例の直接指導を行った。Ｖ逸した際に「慢心」を敗因に挙げ、選手に対し「『子供扱い』しなきゃいけなかった」と悔いて以来、初の熱血指導。打撃不調の坂本に打撃の基本を徹底させた。ＣＳ突破へ勇人の復調は必要不可欠。鬼気迫るタクトでナインを引き締め直していく。

　室内練習場から時折かすかに響いてくる打球音が、異例の極秘マンツーマン指導の熱を伝えていた。グラウンドで汗を流すナインとは対照的に、原監督と坂本だけは、人けのない室内にこもっていた。「少し何というか、チェックし合ったというところ。本来のバッティングになっているかというところをね」と指揮官は笑顔で振り返った。

　突然だった。Ｇ球場で全体練習を開始する午後１時の１５分前、室内練習場に通じるすべてのドアと通路が封鎖され、「関係者以外立ち入り禁止」と記された紙が張り出された。より集中できる環境で勇人に練習させるため、球団側からの要望で報道陣はシャットアウト。一人きりでアップを終えた若武者に、原監督の熱血指導が始まった。

　狙いは明快だった。「原点回帰」―。最近５試合２３打席のうちフライアウトが１７個。上体が突っ込み、本来の打撃を見失っていた。この日はまずスタンドティーを使ったティー打撃で軸回転を確認。さらに約７メートルの近距離で、指揮官自らが打撃投手を務め、打撃の基本を徹底させたという。「改善する必要はない。あれだけの誇らしい数字を残して、胸を張って堂々としていればいい。ただ、本人も私自身も目指している所の位置が高い」と熱い口調で説明した。

　大胆に動いたのには理由があった。今季の敗因を自ら「慢心」と分析。「今年は、何人かの選手を自立していると思ったのが一番の反省点だ。どこかで『子供扱い』しなきゃいけなかった。これでもか、これでもかってね」と悔いていた。不動の１番の地位を築いた坂本もしかり。打率が２割８分２厘まで下がり、６番転向も模索しているだけに、自ら指導して引き締める意図があった。

　厳しさは、期待の大きさの表れ。本人も十分に理解している。約１時間半の極秘トレの後は、屋外フリー打撃で３８スイング。軸回転を意識しながら強いライナー性の打球を連発させた。指揮官も「バッティングの基本はセンター方向にライナーを打つこと」と及第点を与えた。坂本は「試合で集中してやるだけです」と３度も繰り返した。背番号６の復調なくしてＣＳ突破はない。勇人なら絶対にまた、はい上がってくる。