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極まる「チャイナハラスメント」と亡国政治のお寒い事情 

2010年10月03日12時25分 / 提供:産経新聞

産経新聞

 だからいわんこっちゃない。収まるどころか相手はエスカレートしてしまったではないか。中国漁船衝突事件で、中国側は日本に謝罪と賠償を要求してきたのである。さらにロシアとの共闘関係を強調してみせるなど、日本への揺さぶりは相変わらずである。これは日本の後ろ盾になっていた日米同盟にすきま風が生じていることと無関係ではない。また、民主党政権の国家統治がなっていないこと、国家の体を成していないことも見透かされてしまっているから起こるのだろう。

 ■おかしいのは釈放劇だけか 

 今回の釈放劇を受けてメディアは、「圧力に屈した」などと騒いではいるのだが、そもそも日本への主権侵害から国民を守る上で法制面の不備や欠陥が多数放置されているという大問題は相変わらずほったらかしである。

 今回の事件の発端は海上保安庁の船に漁船がぶつかり、公務執行妨害容疑で逮捕されたことだった。そもそも漁船の主権侵害に日本政府は法治国家として正面から向き合ったといえるだろうか。

 容疑は公務執行妨害である。公務執行妨害というのはあくまで公務員の仕事を邪魔したという話である。この事件の核心は領海侵犯だろう。公務執行妨害として片づけるのが法治国家としてよかったのか。これはまじめに考えるべき問題だ。

 公務執行妨害での逮捕が不当だったと言っているのではない。民主党の一部政治家から、釈放するくらいならそもそも逮捕しなければよかったのだ、といった声が聞かれるが、論外である。

 ■問われぬ領海侵犯

 公務執行妨害でひとまず捕まえるのはいい。勾留延長もいい。だが、それはあくまで入り口の話である。最終的には本質である領海侵犯を問うべきだろう。ところが、わが国にある領海法には外国船舶の有害行動を処罰する規定がない。平成20年にできた「領海等における外国船舶の航行に関する法律」というのはあくまで海保を規定した法律で、海自に関する規定は全くないのだ。唯一「領海侵犯法」ともいえるこの法律を見ると罰則は一応ある。だが、領海侵犯を断固取り締まるのではなく領海からの退去が原則。「穏便に処理する」という発想で貫かれた欠陥法で、海自には領海侵犯措置規則はないのである。

 むろん、外国人漁業規制法もあれば入国管理法だってある。公務執行妨害も然りで、これを持ち出せば、処罰は可能だ。ただそれらはいずれも二次的な法律であって、核心である主権の侵害に正面から向き合ったものではない。

 まして今回の事件では捜査途中で証拠となる船や乗組員を帰してしまっている。当初は、外国人漁業規正法違反での捜査も報じられていたが、結局捜査は尽くされることはなかったのである。

 わが国の主権を侵害しながらも、身柄拘束に持ち出されたロジックは、海保の船に体当たりした、公務員の仕事を妨害したというものだった。では公務を妨害しなかったら身柄拘束はなかったのだろうか。いざ、本格的な主権侵害行為があった場合、公務執行妨害という法律で立ち向かえるはずがない。そう考えると、竹やりで戦争に挑むようなとてもいびつな光景が思い浮かぶ。暗澹(あんたん)たる思いがするのだ。

 もっといえば、今回、海上自衛隊の出番は最初から最後までなかった。それを多くの人が当たり前に受け止め、何も考えずに済ませている。これも本来、とても不思議な光景だといわざるをえない。

 ■「安心して漁ができない」という抗議について

 漁船相手に海自が出るまでもないという人がいるかもしれない。しかし、仮に漁船に銃器が積んであればどうか。武装して尖閣に上陸したらどうだったか。

 自衛隊がどういう動きをしていたのか、何ができたのか、問題はなかったのか、といった検証の枠から自衛隊はすっぽり外されており、今も外れたままである。

 公務執行妨害での釈放劇はそうした異常の積み重ねの延長で起きたのである。検察が釈放した途端、「検察が日中関係などの政治的判断をするのはけしからん」とか「国家として大丈夫なのか」といった声が一斉に起こった。しかし、それまでにも異常は見逃され続け、今も見逃されている。

 「安心して漁ができないではないか」という抗議もあった。安心して暮らせないのだから、それはそれで問題があると私も思う。ただ、本質論を回避したままで「政府!漁ができるように何とかしろよ」だけでは愚かしいことこの上ない話だ。

 それに沖縄の場合、在日米軍普天間基地の辺野古への移設に一貫して反対してきた。安心して漁ができるように政府は何とかしてほしい、でも在日米軍は県外でなければ絶対駄目よ、では筋が通らない。

 ■動けぬ自衛隊

 例えば、この手の領海侵犯があった場合、海自が訓練名目で海上に護衛艦を出すということはあり得る。だが、武器使用となると極めて怪しい。領域警備という任務を位置づける法律がないからである。要は海に出てもそれまで。武器使用はできないのである。

 領域警備は、警察行動の一環なのである。あくまで、警察活動で、国防のための防衛行動ではない。防衛行動として出動の対象となるには「外部からの武力攻撃、またはそのおそれ」が必要であり、かつ「防衛出動を命ずる以外に手段がないと認められる場合」でなければならない。つまり、警察行動を行う海上保安庁の対応能力を超えていると政治が判断しなければ、警察行動として領域警備を行う他はないのである。

 ■軍事力は巨悪なのか

 海自には法令上、「海上警備行動」という武器使用が法的に認められているではないか、という人もいるかもしれない。が、それは本来、海上保安庁が有する「警察権」を自衛隊にも付与するというだけの話で、軍事行動の容認ではない。防衛大臣の命令なしにはできず、平成11年の「能登半島沖不審船事件」などで発動されたに過ぎない。

 発令には多くの制約、壁があり、機動性に欠けているのは否めない。いちいち、市ケ谷にお伺いをたて、市ケ谷は永田町にお伺いをたてる。そして政治的波及や中国の顔色を計算してから判断するのだから、とてもスピードも遅く、政治的圧力にも歪められやすい。現場に臨んだところで警告射撃ひとつをとっても多くの困難が伴い、政治的決断が下ったときには五星紅旗がすでに上陸、制圧してしまっているかもしれない。

 航空自衛隊には領空侵犯に対する措置が任務として位置づけられてはいる。ただ、自衛隊法でそれは「正当防衛、緊急避難の場合」に限定されている。正当防衛、緊急避難に限るという発想は、警察の発想である。国内法を戦場に適用する発想といってもよい。戦場では敵を全力で完全にたたきつぶして同胞の安全を守ることが求められる。欠陥がある不完全な規定である。

 しかし、海にはそれすらないのだ。領海法や「領海侵犯措置規則」に基づき、直ちに現場に駆けつけ、拿捕(だほ)する。一体、何のために自衛隊があるのか、と考えれば当然の話だ。

 政治家が「武力行使」という言葉を口にする場合、逃げ腰、及び腰で語られるのが常だ。言い訳や釈明の文脈で軍事は扱われる。忌み遠ざけられ、手足さえ縛れば事足れりのわが国では、有事法制、核武装という言葉を口にしただけでメディアは大騒ぎし、時に政治家や自衛官の首が飛ぶ。いかに防衛予算を確保し、いかに自衛官に屈強な猛者をそろえても、いざというとき国をいかに守るかをめぐる足かせが多すぎて、戦う布陣の足を引っ張っているのである。

 ■転がる「チャイナハラスメント」

 「チャイナ・ハラスメント」という言葉があるそうだ。中国当局による日本企業への嫌がらせを指す言葉らしいが、理不尽な要求を恫喝(どうかつ)まがいに繰り返し突きつけてくる中国外交そのものを形容するにふさわしい言葉である。

 「チャイナ・ハラスメント」は単に経済活動や外交問題という次元の話にとどまらない。中国におもねった動きは教科書問題にも見られる。児童生徒が勉強する地図帳を開けば、中国と台湾の国境が引かれていない場合がある。これも「二つの中国」を認めない、日本はそういう中国の立場を「尊重する」という共同宣言を盾に取る中国におもねった判断がもたらした例だ。これなど典型的な「チャイナ・ハラスメント」だろう。

 光華寮事件をめぐる判決など日本の司法を見ても病巣は深いと思う。日中共同宣言や村山談話、靖国神社に至るまで日本の政治の細部に「チャイナ・ハラスメント」を恐れ、おもねって中国を刺激しないよう心がける空気は満ちている。「中国とともに日本まで熱くなるのは得策ではない」「無為に大騒ぎしてもプラスにならない」といった物言いが世論沈静化のために持ち出されている。だが、これまた「チャイナ・ハラスメント」に毒された結果、やすきに流れた物言いだと思う。

 「チャイナ・ハラスメント」は日本が克服しなければならない問題であって日本社会の至る所に転がっているのだ。

 わが国の国益を踏まえ、将来を案ずる当然の国家観を誰もが持つことが不可欠だ。何をするにも日本の悪しき面ばかりをあげつらう自虐的思考からまず脱却しないといけないことはいうまでもない。これは一貫して日本の問題であり、気の遠くなるほど根の深い問題なのである。

 ■検察のセオリーに反する

 ところで、中国漁船をめぐる事件での国会審議や政治家の発言にはあきれるばかりである。

 「あくまで那覇地検の判断」という政府の説明もあった。一体何人の国民が信じるだろう。民主党内ですら、困惑や批判の声が上がっている。今回の釈放劇に政府による政治介入があったか、なかったが問題となっている。政治介入があれば論外であることはいうまでもない。だが、それは本質的な問題ではないのである。

 検察の釈放判断が検察独自の判断で行われたとは考えにくいと私は思う。官邸や北京からの外圧をうかがわせるような疑義が随所に残っているからだ。

 まず、勾留期限まで日数を残して、それも容疑を否認している被疑者を手放すこと自体、捜査を尽くしたとは言えないことである。検察のセオリーに照らしておかしいのである。

 新聞には、準大手ゼネコン「フジタ」の現地邦人の身柄拘束が決定打になった、という報道もあった。本当か。仮にこれが、漁船事件と関連があれば、国家による誘拐に等しい。卑劣な行為である。それを外形上、報復とはみせかけないやり方自体がもっと卑劣であり、小出しに“解放”するやり方にも憤りを覚える。

 これが決定打になったということは、検察はいわば「誘拐犯」の脅しに屈したことを意味する。類似犯は今後、ますます増えるかもしれない。

 ■起訴便宜主義は何でもアリか

 検察官には起訴便宜主義が認められている。訴追するかどうかの判断は検察官に幅広い裁量が与えられていて、さまざまな事情を考慮して判断がなされていい、というものである。微罪である、十分な社会的制裁を受けている、あるいは被疑者は十二分に反省し、再犯の恐れもない…さまざまな事情を考慮して処罰価値がないから起訴はしないという判断はあるだろう。

 だが犯罪を許すことと見逃すことは違うはずである。今回のような犯罪事実を認めてすらいない被疑者を日中関係を理由に釈放するのは犯罪を容認、助長する行為に等しい。私にはどうしても妥当だとは思えないのである。

 「日中関係を考慮して…」などと、検察が処分保留に持ち出した理由も不可解である。検察が外交判断して、これが国家の威信を傷つけ、中国の要求はエスカレートするという外交失態を招いた意味でも責任は重大だし、なぜ日中関係なら犯罪が許されるのかという点も素朴に分からない。批判を浴びて当然である。

 こうした判断が検察だけでできたとは考えにくい。

ただ、官邸からの政治的介入があったにせよ、官邸の意向を検察が忖度(そんたく)したにせよ、あるいは検察が中国の恫喝(どうかつ)、顔色をうかがって独自に判断したにせよ、これは政府の判断なのであり、国家の意思決定としてお粗末だということは変わらない。「戦後最大の外交的な敗北劇」を「適切な判断」などと今も了としている政府の姿勢がいかに愚かしいか。これだから中国にいいようにやられてしまうし、いずれまたやられるのである。領土的野心に燃える中国にとって民主党政権のこうしたお粗末は千載一遇の好機だろうと考える。

 ■鳩山首相の無責任発言

 政治家の発言のなかで目立ってひどかったのは鳩山由紀夫前首相だった。「私だったら事件直後に、この問題をどうすべきか中国の温家宝首相と腹を割って話し合えた」。鳩山氏は9月25日、視察先の京都市内で記者団にこう語り政府の対応を批判したというのだが、鳩山氏でも多分、駄目だったんじゃないか、と多くの国民が冷笑していることを前首相はもっとわきまえてほしい。

 鳩山氏は在任中、温家宝首相との間にホットラインが存在することを明らかにしたそうだが、ホットラインがあることと、首脳同士が腹を割って話し合えることとは全く別の話である。鳩山氏の場合、普天間問題などがそうだったように、在任中「国民の思いに真摯(しんし)に耳を傾ける」といいながら、実際にはあらゆる人のいいなりで結局は事柄をこじらせるだけだったように思える。「腹を割って話し合えた」と言ってもそう思っているのは実は鳩山氏のみかもしれないのである。

 温家宝首相に言われたことに反論もしない。聞き分け良く振る舞い、翻弄(ほんろう)されたあげく、それを腹を割って話し合ったと自分では思い込んでいる。こんな光景が目に浮かぶのである。

 ■鳩山発言の問題点

 あの辞任劇にとどまらない。辞任後の身の処し方や言動、小沢氏の代表選出馬劇のさいの行動や言動にも通じるのだが、鳩山氏が何を言っても「貴方に言われたくはない」「彼にそういう資格があるのか」という思いがこみ上げてくる国民は多いのではないだろうか。

 記者団の前で鳩山氏は「証拠として映像があるはずなのに、国民にも、中国側にも見せていない。中国側に見せれば、これが公務執行妨害だということは分かっていただけたはずだ」などと語ったそうだ。

 他人事のように論評で済ませている場合か、と思う。仮にも前任の総理大臣である。まず、そう思うのなら、証拠の映像を持って中国側に裏方に徹して自分で働きかけたらどうなんだ、という気分である。

 そもそも公判で有罪判決を勝ち取ることを至上命題とする予定だった検察庁や海上保安庁が、事件直後となる公判前の段階で決定的な証拠映像を国民にも中国側にも軽々しく開示するはずがないではないか。

 それに、いうまでもないことだが、鳩山氏の「中国側に見せれば、これが公務執行妨害だということは分かっていただけたはずだ」という認識自体、極めて甘いといわざるを得ない。

 そんなことで中国が「公務執行妨害と分かっていただける」とは到底思えない。こんな認識だから一国の舵取りを担う総理大臣が務まらなかったのではないだろうか。

 米国にあきれられたのは誰だったか。日米関係までおかしくしたのは誰だったか。「日米離反」は中国にとって思う壺の状況である。そういう条件をしたたかに使って挑発、恫喝を繰り返す中国に彼の後任の政権が屈したわけである。

 菅政権の判断がひどいと私も思うが、それを他人事のように論評している鳩山氏にも責任の一端は間違いなくあると思う。そのことを自覚した上での発言だったか。よくお考えいただきたいものである。(安藤慶太・社会部編集委員)

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