彼女に「逃げろ」刃物男に１６歳高校生殺される

堤将太さんが殺害された現場付近で手を合わせる高校生ら Photo By 共同

　神戸市北区の路上で４日深夜、同市内の高校の男子生徒（１６）が刃物のようなものを持った男にいきなり襲われ、首などを刺されて死亡した。一緒にいた同市内の中学校の女子生徒（１５）は「刺される直前、自分たちを見ていた知らない男がいた」などと話している。県警捜査１課は５日、殺人事件として神戸北署に捜査本部を設置し、現場から逃走した男の行方を追っている。

　兵庫県警によると、４日午後１０時５０分ごろ、神戸市北区筑紫が丘４丁目の路上で「彼氏が男に刺された」と、一緒にいた同市内の市立中３年の女子生徒から１１０番があった。刺されたのは、同市北区小倉台、私立神戸弘陵学園高校２年の堤将太さんで、病院に運ばれたが、首や肩を数カ所刺されており、約１時間半後に死亡した。死因は失血死で、首の付け根に深さ約８センチの刺し傷があった。

　女子生徒の捜査本部への説明によると、自動販売機のわきで堤さんと一緒に缶ジュースを飲んでいた際、道路の向かい側にいた小太りの男が２人をじっと見つめていた。

　男が刃物のようなものを持っていきなり近づいてきたため、堤さんは女子生徒に「逃げろ」と促したという。女子生徒がしばらくして戻ると、元の場所から北西に約７０メートル離れた市道交差点の横断歩道で堤さんが大量の血を流して倒れ、路上には血痕が点々と続いていた。

　堤さんは首や肩を数カ所刺されており、首筋の左右には長さ１０センチ以上の傷もあった。抵抗した際にできる「防御創」とみられる傷はなかった。捜査本部は、堤さんが一緒にいた女子生徒を逃がした後、男に襲われ、首や肩などを何度も刺されたとみられる。

　逃げた男は２０〜３０代。身長１メートル６０〜７０で上下ジャージー姿にジャンパーを羽織っていた。凶器は見つかっていない。

　女子生徒は「知らない男だった。いきなり近づいてきた」などと話している。

　現場は神戸電鉄山の街駅の東約１・５キロの住宅街で、片側２車線の大通り沿い。

[ 2010年10月06日 ]