今週のキーワード 真壁昭夫
【第147回】 2010年10月5日
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真壁昭夫 [信州大学教授]

本当は中国自身が損をするレアアースの禁輸圧力に、
日本はなぜ翻弄されてしまったか?

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日本の正直さは大切だが、
したたかな中国に弱みを見せてはいけない

 今回の騒動でもう1つ見逃してならない点は、わが国政府のいかにも稚拙な対応姿勢だ。

 まず、レアアースについては、かなり以前から中国への依存度が異常に高いことが指摘されていた。それにもかかわらず、政府はほとんど具体的な政策を実施して来なかった。

 今年に入って、中国が「輸出枠を40%減少する」と通知してきた以降、慌てて経産相や外相が北京に飛んで行った。しかも、条件として提示したのは、環境問題に関する技術供与だったという。

 それでは、いかにもしたたかな中国政府に、弱みを見せるだけの意味しかなかっただろう。自国内のマウンテン・パス鉱山の再開を決めると同時に、WTO(世界貿易機構)への提訴をほのめかして交渉を進める米国や、中国国内の環境問題や少数民族の人権問題などでジワリと圧力をかけることを狙っている欧州諸国とは比べ物にならないほど、わが国の外交手法は稚拙と言わざるを得ない。

 重要なポイントは、「中国政府にはわが国の常識が通用しない」という基本的な出発点を明確にすることだ。海外のファンドマネジャーの1人は、「日本人の正直さは大切だが、それでは中国政府にやりたいようにやられてしまう」と指摘していた。

 その通りだろう。わが国政府は、自分の主張を明確にして、相手と対峙することを念頭に置くべきだ。そして、したたかさを身に着けるべきだ。

 それができないと、わが国の国民はいつまでも損をし続けなければならない。それは、何とか避けて欲しいものだ。

世論調査

質問1 日本企業は今後中国とどう向き合うべき?

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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