中国リスクは国際社会にも波及必至
今後の展開は中国にとって不利に働く?
ただし、短期的には対応策が限られるレアアースだが、少し長い目で見ると状況はかなり変わってくる。もともとレアアースは、中国にしか存在しないものではない。他の諸国でも産出される物質だ。
今回、中国が輸出禁止などの措置を取ったことによって、わが国を始めとする世界の主要消費国と潜在的な産出国が、本格的な対応策を練り始めたことは間違いない。
1つは、わが国のように消費量が多く、しかも国内の高い技術を蓄積している国では、レアアースの代替品への切り替えや、リサイクルなどが活発化するはずだ。実際に、リサイクルの効果を顕在化させるまでには時間を要するかもしれないが、着実に中国への依存度を低下させるだろう。
また、レアアースの価格上昇に伴って、すでにいくつかの再開発や新規開発のプロジェクトが動き始めている。たとえば、米国のマウンテン・パス鉱山では、レアアースの生産を本格的に再開する。
また、ベトナムやカザフスタンなどでは、わが国企業と現地企業が協力して生産活動を拡大することが予定されているという。こうした供給サイドの拡大が進むと、中国製品のシェアは低下することが予想される。
さらに、わが国政府も“レアメタル確保戦略”と称して、リサイクル推進、代替材料の開発などを促進する方針だ。結果として、向こう1~2年のうちに需給関係は緩むとの見方が有力だ。ある専門家のように、「長い目で見ると一番損をするのは中国自身」と見る向きもある。