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2010年10月05日14時45分
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菅政権は、菅・仙谷流の「日中友好」と前原・岡田流の「毅然外交」とで構成されている。両者は心情左翼=心情右翼ということで通底しており、政策は常に空想的、思想は理念的なシナに対する愛憎相半ばする感情で満ちている。
特に仙谷氏のシナ崇拝はわかりやすい。少なくとも近世以来続く日本型インテリの伝統に忠実に従って、現実に目の前に存在する中国を無視し、ひたすら理念的なシナを崇拝する姿は、平成の俗流儒家そのものである。
「仙谷由人官房長官は4日の記者会見で(略)『古くから中国から伝来した文化が基本となり日本の文化・文明を形成している』と歴史を説きおこし、『桃太郎などの寓話も中国から取ってきたようなものが多い』と中国の文化的優位性を強調した。(略)『(中国は)清朝の末期から先進国というか英米の帝国主義に領土をむしりとられてというと言い過ぎかもしれないが、割譲されて民族としても国家としても大変、つらい思いをしてきた歴史がある』と中国の近代史に同情してみせた。
そして『返す刀』で日本の戦争責任論に触れ、『日本も後発帝国主義として参加して、戦略および侵略的行為によって迷惑をかけていることも、被害をもたらしていることも間違いない』と日本の侵略を強調して中国を擁護した」(産経新聞)
シナ崇拝者の特徴は、古代シナの日本に対する文化的影響と、近代以降の清朝、中国の実態とを混同する点にある(その延長で、古代の朝鮮半島における国々と、李氏朝鮮および現在の北朝鮮、韓国の実態とを混同する)。シナ崇拝者は同時に歴史認識オタクだが、その際の歴史認識とは「先の大戦における日本の戦争責任」にとどまらない。古代における日本の文化的劣位(日本の建国過程や遣唐使、渡来人の強調)、中近世における日本の道義的劣位(和冦や朝鮮出兵の強調)、近代における日本の道義的劣位(大陸進出の強調)、そして戦後における日本の道義的劣位(経済進出と歴史認識の強調)までを含む、壮大な日本蔑視史観になっている。これは戦後の発明ではなく、近世の儒家が、理念的なシナを崇拝することで日本国内で優位に立とうとしたという、みっともない知的伝統を受け継いでいる。(愛国心や郷土愛は本来、祖先信仰に基づくもので、優劣とは無関係のはずだが、すぐに優劣の次元に持って行きたがるのもシナ崇拝者の特徴。その悪影響で、日本優位論の日本主義者も生まれた)
シナ崇拝者にとっては、現実の中国がどう行動したかはどうでもいい。とにかくシナは優れていて、正しく、美しい存在なのだ。シナを守るために日本は従属せよとなれば「善隣友好」となり、シナを守るために日本は戦えとなれば「暴支膺懲」となる(後者の場合は、理念的なシナを脅かす現実の中国政府という「内なる蛮族」を日本がシナの代理人として倒すという構図)。
そのため、清朝が北洋艦隊で日本をそれこそ帝国主義の餌食にしようとした歴史的事実や、中国(中華民国、中華人民共和国)が、シナ事変において繰り返し日本(および列強)のテリトリーを「侵略」した歴史的事実も、最終的にはなかったことにされる。現実の中国がどうあれ、理念的なシナは常に無傷なのである。
日本や欧米列強は、シナを困らせる東夷であり西戎でしかない、ということになる。異民族は、偉大なシナに対して何百年、何千年と跪かなければならない、とシナ崇拝者はナチュラルに考える。歴史認識オタクが靖国参拝に過剰反応するのも、異民族がシナに対して挑戦していると感じるからだ。
日本人であれば、先の大戦については、簡単に善悪をつけがたい、複雑な感情を持つはずである。幕末以来の大陸、半島、欧米列強からの脅威を考えれば、自衛戦争という面が見えてくる。一方で、若い日本人が血を流し、半島や大陸に権益もできていく中で、日本人自身が既得権に執着しすぎたことが、戦争を泥沼化させた(現在も平時ではあるが、年金や医療という既得権に執着して、財政を泥沼化させているのだから、日本人は基本的に変わっていないのかもしれない)。その点では、帝国主義の面が出てくる。靖国参拝についても、当時の為政者に対する批判がある一方で、それを「A級戦犯」と括り、外国から慰霊のあり方まで口出しされてなるものか、とも思う。
しかし、シナ崇拝者に迷いはない。「中国様が嫌がっているのだからやめろ」。この一言ですべて済む。それはつまり、彼らの意識は既に日本人ではなく、日本人を非難する側にあるからだ。先の大戦について当事者として悩み、複雑な感情を抱えるのではなく、あくまでも部外者の視点に立って、事実関係の精査などすっ飛ばし、日本人を次から次へと断罪していく。(この点については「靖国参拝閣僚ゼロも日中関係最悪」もご覧いただきたい)
特に仙谷氏のシナ崇拝はわかりやすい。少なくとも近世以来続く日本型インテリの伝統に忠実に従って、現実に目の前に存在する中国を無視し、ひたすら理念的なシナを崇拝する姿は、平成の俗流儒家そのものである。
「仙谷由人官房長官は4日の記者会見で(略)『古くから中国から伝来した文化が基本となり日本の文化・文明を形成している』と歴史を説きおこし、『桃太郎などの寓話も中国から取ってきたようなものが多い』と中国の文化的優位性を強調した。(略)『(中国は)清朝の末期から先進国というか英米の帝国主義に領土をむしりとられてというと言い過ぎかもしれないが、割譲されて民族としても国家としても大変、つらい思いをしてきた歴史がある』と中国の近代史に同情してみせた。
そして『返す刀』で日本の戦争責任論に触れ、『日本も後発帝国主義として参加して、戦略および侵略的行為によって迷惑をかけていることも、被害をもたらしていることも間違いない』と日本の侵略を強調して中国を擁護した」(産経新聞)
シナ崇拝者の特徴は、古代シナの日本に対する文化的影響と、近代以降の清朝、中国の実態とを混同する点にある(その延長で、古代の朝鮮半島における国々と、李氏朝鮮および現在の北朝鮮、韓国の実態とを混同する)。シナ崇拝者は同時に歴史認識オタクだが、その際の歴史認識とは「先の大戦における日本の戦争責任」にとどまらない。古代における日本の文化的劣位(日本の建国過程や遣唐使、渡来人の強調)、中近世における日本の道義的劣位(和冦や朝鮮出兵の強調)、近代における日本の道義的劣位(大陸進出の強調)、そして戦後における日本の道義的劣位(経済進出と歴史認識の強調)までを含む、壮大な日本蔑視史観になっている。これは戦後の発明ではなく、近世の儒家が、理念的なシナを崇拝することで日本国内で優位に立とうとしたという、みっともない知的伝統を受け継いでいる。(愛国心や郷土愛は本来、祖先信仰に基づくもので、優劣とは無関係のはずだが、すぐに優劣の次元に持って行きたがるのもシナ崇拝者の特徴。その悪影響で、日本優位論の日本主義者も生まれた)
シナ崇拝者にとっては、現実の中国がどう行動したかはどうでもいい。とにかくシナは優れていて、正しく、美しい存在なのだ。シナを守るために日本は従属せよとなれば「善隣友好」となり、シナを守るために日本は戦えとなれば「暴支膺懲」となる(後者の場合は、理念的なシナを脅かす現実の中国政府という「内なる蛮族」を日本がシナの代理人として倒すという構図)。
そのため、清朝が北洋艦隊で日本をそれこそ帝国主義の餌食にしようとした歴史的事実や、中国(中華民国、中華人民共和国)が、シナ事変において繰り返し日本(および列強)のテリトリーを「侵略」した歴史的事実も、最終的にはなかったことにされる。現実の中国がどうあれ、理念的なシナは常に無傷なのである。
日本や欧米列強は、シナを困らせる東夷であり西戎でしかない、ということになる。異民族は、偉大なシナに対して何百年、何千年と跪かなければならない、とシナ崇拝者はナチュラルに考える。歴史認識オタクが靖国参拝に過剰反応するのも、異民族がシナに対して挑戦していると感じるからだ。
日本人であれば、先の大戦については、簡単に善悪をつけがたい、複雑な感情を持つはずである。幕末以来の大陸、半島、欧米列強からの脅威を考えれば、自衛戦争という面が見えてくる。一方で、若い日本人が血を流し、半島や大陸に権益もできていく中で、日本人自身が既得権に執着しすぎたことが、戦争を泥沼化させた(現在も平時ではあるが、年金や医療という既得権に執着して、財政を泥沼化させているのだから、日本人は基本的に変わっていないのかもしれない)。その点では、帝国主義の面が出てくる。靖国参拝についても、当時の為政者に対する批判がある一方で、それを「A級戦犯」と括り、外国から慰霊のあり方まで口出しされてなるものか、とも思う。
しかし、シナ崇拝者に迷いはない。「中国様が嫌がっているのだからやめろ」。この一言ですべて済む。それはつまり、彼らの意識は既に日本人ではなく、日本人を非難する側にあるからだ。先の大戦について当事者として悩み、複雑な感情を抱えるのではなく、あくまでも部外者の視点に立って、事実関係の精査などすっ飛ばし、日本人を次から次へと断罪していく。(この点については「靖国参拝閣僚ゼロも日中関係最悪」もご覧いただきたい)
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「改革する保守」をキーワードに、政治・経済など幅広いテーマを扱う。
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