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August 13, 2010

アマゾンのレビューが荒れやすい理由への考察~そしてアマゾンの対応についての報告

このエントリーでは、なぜ最近、アマゾンのレビューが、少なくとも私の「勝間本」についてこんなに荒れてしまうのか、考察していきます。そして、その指摘に対するアマゾン側の対応についても、合わせて後半で、報告します。

おかげさまで、新刊の売れ行きが順調です。「不幸になる生き方」「マナベル」「目うろこコトバ」、どれも自信作です。いわゆる、私の初期本「無理なく続けられる年収10倍アップ勉強法」「お金は銀行に預けるな」「自分をグーグル化する方法」に決して劣ることない内容と自負しています。

ところが、最近のアマゾンのレビューは、ボロボロです。賛否両論のものもあれば、ひたすら、星1つのものもあります。つまりそれは、私の本の内容が落ちたのでしょうか?

それでは、初期本のレビューをみてみましょう。昔のレビューは星が4-5個のものが主流、ところが、最近のものは星1-2個ばかり。これは、どうも、私の本の内容が変わったと言うよりは、私を取り巻く仕組みが変わり、それにアマゾンのしくみが対応できていないのでは、と考えることができます。

余りにもアマゾンのレビューが悪いので、逆に興味を持って買ってみたり、あるいはおそるおそる手に取ったら、いい本だった、ということはツイッターやブログでずいぶんとお話を受けました。

では、なぜそんなにアマゾンのレビューが悪いのか、それは以下のアマゾンのしくみにあると考えています。

1. 著者の知名度が広がるにつれて、必ず「アンチ」が生まれます。

その人たちは、あまりにも対象の存在自体が不愉快なので、自身の心の平穏を保つため、ストレス解消の方法の1つとして、ありとあらゆる方法で著書や著者に対する攻撃を始めます。そのパワーたるや、尊敬に値します。

2. ところが、アマゾンは「アンチ」のレビューに対して、以下の理由で、たいへん脆弱なしくみを持っています

(1) 著書をアマゾンで買った人でなくともレビューが書けること
(2) アマゾンのアカウントはメールアドレスだけで取れるので、複数アカウントを取得するのが容易なこと
(3) 結果として、1人でも例えは30とか50のアマゾンのアカウントを取得することができる

アマゾンのアカウントで1回でも何かをアマゾンで購入すれば、すべての商品にレビューが書けるようになります。また買わないアカウントでも、参考になった、ならないは押せます。

3. そして、アンチの人が下記のような行動を行えば、レビューを簡単に荒らすことができます。

(1) 内容のいかんを問わず、カスタマーレビューのガイドラインに違反しないように気を付けながら、ひたすら星1個のレビューを複数アカウントで書きまくりましょう

(2) (1)が書き終わったら、さまざまな星1つのレビューに今度は、「参考になる」を複数アカウントで押しまくるのです。そうすると、最初にでてくる注目の3つのレビューに上げることができます。

(3) 念のため、批判的なタグをたくさんつけるのもいいでしょう。「トンデモ本」「国賊」などもつけられるようです。しかも、タグはなんと、カスタマーレビューガイドラインの対象外です。つけたい放題です。そしてタグをつけたら、これも念のため、タグの利用に賛成しておきましょう。

たとえばこんなタグの使い方が、典型的なアンチタグの使い方です。1人でこんなにアンチタグをつけられるのは、驚きを通り越して、呆れています。

(4) 万一、星4つとか星5つのファンによるレビューが入ったら、以下の方法で攻撃します。
・報告する、複数アカウントでボタンを押しまくると、運がよければ、消えます。
・消えなかったら、参考にならない、を押しまくって、レビューがすぐには見えないようにしましょう。また、レビューを書いた人もがっかりするので、もう一度書かなくなります。
・それでもまだ残ったら、レビューに対するコメント欄で、さらにこのいいレビューを攻撃することも可能です。


どうでしょう。星1つのレビューの山のできあがりです。え、そうすると著者から文句がくるって? そうすると、アマゾンはこう答えればいいのです。

「出版社を通じて、具体的に一つ一つのレビューが、どのレビューガイドライン違反になっているのか、明示して教えてください。そうすれば、削除をするかどうか、検討します」

こちら側にしてみれば、大変な労力ですね。出版社も毎回対応するのもたいへんです。そうすると、最も現実的な対応は「ほっておくこと」になるのです。ただ、あまりにも悪質なときにはそれでも、依頼をしますが、依頼に応じないこともあります。

そこで、アマゾンに再三、改善を要請をすると、こんなお返事が来るのです。これは、先方から来た4通目のメールです。実は、前3通も、ほぼ同じ内容です。ひたすら、同じことを繰り返し、言い続けます。つまり、ガイドラインを守っているかどうかが問題であり、それを判断するのはあくまでアマゾンだ、ということです。なるほど、それは攻撃側は攻撃のしがいがあります。

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平素は大変お世話になっております。
先週金曜日にはお電話でお話させていただくとともに、メールでのご連絡を頂きありがとうございました。

勝間様、上念様には、本当に貴重なご意見を賜り、感謝いたしております。今回ご指摘頂いた内容は、弊サイトの更なる改善に活かさせていただきたく存じます。

また、これまで版元様経由で頂戴いたしました、数多くのレビュー削除依頼に関しましても、弊サイト改善に役立たせていただいておりますことを心より感謝致します。弊サイトの現行のガイドライン・審査基準につきましては、すでにサイト上で公開させていただいている通りでございますが、いただいたご意見も踏まえ、引き続き真摯に検討し、これまでどおり精一杯サイトへの反映をして参りたいと考えております。

弊サイトといたしましては、カスタマーレビューをお客様から商品へのフィードバックを直接頂戴する大変重要な機会であると位置付けております。また、世界中で最もお客様を大切にする企業でありたいとする弊サイトのビジョンからも、お客様からのレビューをできる限りそのまま分け隔てなく掲載することが、お客様から信頼して頂くために極めて大きなポリシーであると認識しております。
何卒、ご理解を頂きたく存じます。

よろしくお願い申し上げます。
取り急ぎご連絡の御礼とご回答まで。

Amazon Japan
×× ×× (責任者の方のお名前が入っています)

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実はこのやり取り、もう2年近く、続いています。そして、何も変わりません。なので、私は自分の本のレビューについては、

・さまざまなブログ検索やTwitterのレビュー
・購入者しかレビューを書けない楽天ブックス

しか信用しないことにしました。他のアマゾンの本についても、正直、どこまで信用していいのかわかりません。

この記事を読んで、みなさんがどう思われるのか、それはみなさんの判断におまかせします。私が負け惜しみで書いている、と思われても一向にかまいません。私はただ正直に、これまで、何が起こっているのか真実をお知らせしたく、書き記しました。

私の本については、もちろん、アマゾンの方が便利だから、ということで買う方は止めませんが、先行予約その他については、アマゾンの上記のレビューのしくみが改善されない限り、行う予定はありません。

また、私が一連の自分のブログその他のリンクをアマゾンから楽天ブックスに切り替えた後、アマゾン自体のしくみは一切変わっていませんが、以下の事象があったことを開示します。

・Googleで「勝間和代」と検索したとき、アマゾンの検索連動型広告が上位にくるようになった
・アマゾンの方から出版社に「勝間さんの特集を作りたいから協力してくれないか」という依頼があった(断ってもらいました)
・勝間本の購入を勧めるアマゾンからのダイレクトメールが急に増えた

私は自分のことを特別扱いをして欲しいわけではありません。悪意に対して脆弱な現在のアマゾンのレビューのしくみを改善して欲しい、と要望しているだけです。

例えば、短時間に同一IPから短時間の間に複数アカウントでの投稿や投票があった場合にはそれを無効として取り扱うとか、タグにおいても悪意のひどいタグは削除するなど(ちなみに、国賊ですら、削除はできないそうです)、それくらいはシステムやガイドラインで対応できるはずです。

このエントリーが契機に、改善が行われることを真摯に望みます。

2010 08 13 [2.実体験観察から] | 固定リンク

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