【フィギュアスケート】浅田真央、新シーズンの葛藤と希望
(Sportiva 2010年10月3日掲載) 2010年10月5日(火)配信
演技直後は笑顔なしの硬い表情だった浅田だったが、優勝インタビューには苦笑いを浮かべて申し訳なさそうに答えていた。
バンクーバー五輪での金メダルが目標だった昨季までは勝負に勝つことに徹してきたが、そのことでフィギュアスケーターとして疎(おろそ)かにしてきたことがあった。それがジャンプだという。今季を迎えるにあたり、掲げた目標はジャンプを基本に立ち返って修正することだった。
6月からジャンプの技術コーチとして荒川静香や本田武史らを育てた長久保裕コーチに指導を依頼。浅田は「ジャンプをもう一度、(基本から)取り戻したいというか、思い出すことを始めた」と、この3カ月間ジャンプ修正に取り組んできた。しかし、初陣で見せた成果は道半ば。浅田自身も「まだまだ程遠いなという感じ」と振り返った。
一方、新たに浅田を指導することになった佐藤コーチは、就任してまだ1カ月しか経っていないこともあり、「観察している段階」だと話す。すでにトップスケーターになっている浅田に対して、今はまだ「忍の一字で耐えているところ」で、これまで指導した中野友加里や村主章枝のときと同じく、最初のシーズンはアドバイス程度でほとんど何も教えないという。ただ、今季浅田が挑もうとしているジャンプの大幅修正については、少々異なる意見を持っている。
「いま、ジャンプを大きく変えて直すことはしないほうがいい。身につけている習慣、悪く言えば癖をどこまで直し切れるか分からないし、それを直していったらとんでもないことになるかもしれない。いま、振り出しに戻すわけにはいかない。現時点でジャンプに関しては、跳ぶ前の流れを止めないように持っていきたい」
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