大阪地検特捜部による証拠改ざんの隠ぺい事件で、逮捕された前特捜部長は、拘置所で面会した弁護士に「自分は検察のストーリーによって逮捕された」と話し、重ねて容疑を否認しているということです。
大阪地検の前の特捜部長、大坪弘道容疑者(57)と、前副部長の佐賀元明容疑者(49)は、主任検事の前田恒彦容疑者(43)が証拠品のフロッピーディスクのデータを改ざんしたことを知りながら隠ぺいしたとして、先週、犯人隠避の疑いで逮捕されました。大阪拘置所で大坪前特捜部長と面会した弁護士によりますと、大坪前特捜部長は「前田検事からは『データの書き換えは故意ではなく、過失だった』という報告を受け、それを信じていた。自分は検察の上層部が描いたストーリーに基づいて逮捕された」と話し、重ねて容疑を否認しているということです。最高検の調べに対し、前田検事が「データ書き換えの経緯を記した上申書について、大坪前特捜部長から『もっと過失とわかるように書け』と言われた」などと供述していることについても、大坪前特捜部長は「そのような指示は一切していない」と否定したということです。一方、佐賀前副部長の弁護士によりますと、佐賀前副部長も容疑を否認しているということです。佐賀前副部長の意向を受けて、弁護士は、取り調べの様子をすべて録音・録画するよう求める申し入れ書を最高検に出していて、2人の元特捜幹部が、捜査に当たる最高検と全面対決する構図となっています。大阪地検の前の特捜部長らが主任検事による証拠改ざんを隠ぺいしたとされる事件で、逮捕された前副部長の弁護士が取り調べの様子をすべて録音・録画するよう申し入れていることについて、最高検察庁の伊藤鉄男次長検事は5日午後、会見を開き「これまで取り調べを行ってきた検事が、自分が取り調べを受けるときになると、そのようなことを言うのは不自然だ。容疑者の権利を守る方法は、検事なのだから十分知っているはずで、録音・録画の必要性はない」と述べました。