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【大リーグ】

松井 本紙独占インタビュー 来季は指名打者に専念

2010年10月6日 紙面から

本紙の独占インタビューに応じるエンゼルスの松井=アナハイムで(社英夫撮影)

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 【アナハイム阿部太郎】エンゼルスの松井秀喜外野手(36)が4日(日本時間5日)、ロッカー整理のため球場を訪れ本紙の単独インタビューに応じた。メジャー初の負け越しを経験した苦闘のシーズン。5月と7月に陥った大不振、ソーシア監督の起用法、来季への思い、そして引退の覚悟−。目標でもあるプレーオフ出場を逃し、来季の去就も白紙のまま長いオフシーズンを迎える松井の胸中に迫った。

 −5月と7月の不振。ズバリ大きな原因は?

 松井「原因がわかっていたら、その時点で修正してるよ、たぶん。原因はわかってない。これから反省してその結果を受け入れて、来年に向けて少しずつやっていこうかなという感じだね」

 −不振時、体調面に問題は?

 「全く問題なかった。ひざの調子はよかったし、体調もよかった。かといって、あの時自分がこうしておけばよかったという後悔はない。出た結果から反省して来年に向けてやるしかない」

 −8月、若手のボアジャスを昇格させて中堅に据え、チームは優勝をあきらめたように見えた。

 「あの加入で少しは来季を見据えたのは確かだと思う。でもチームは若い力をつけながら、強くならなければいけないし、もちろん、納得している」

 −球宴以降、松井選手の出番も減った。ソーシア監督から、先発落ちの説明はほとんどなかったように思うが?

 「説明はなかった。でも外れるのは左投手の時がほとんど…。去年(ヤンキース)もそんなに(説明が)あったわけではない」

 −今年、初めて西海岸でプレー。時差も含めて東海岸との違いは?

 「移動はやっぱりニューヨークにいたころと比べると多少きつい。距離も長いし、ベースが西海岸になっているからどこへ行くにも、時間が早くなる。そういう意味では東のチームよりは移動は厳しい感じがする」

 −それが来季の去就に影響することは?

 「それはない」

 −守備に関しては来季もこだわる? もしくは指名打者1本?

 「基本はどっちみち指名打者になる。自分の中でしっかり守れるということを日々確認しながら、準備だけしてチームが守ってくれという時にに守れればいい。最初から絶対守らせないというんじゃなくて、ね。だから来季に関しては絶対これぐらい守らせてもらえなきゃ嫌だ、とかいうつもりはない」

 −では指名打者として生きていく?

 「もちろん。去年だって指名打者だったわけだから。昨オフの場合は、もう1回(守備に)チャレンジさせてくれるっていう、そこが大事なところだった」

 −来季は37歳。最後に少し聞きにくいところではあるけど、引退が頭をよぎることは?

 「それはいつ起こっても不思議ではないことだと思う」

 −ボロボロになるまで現役を続けるつもりか?

 「それはない。総合的に考えて、チームに迷惑をかけてまでやるつもりはない」

 −自分の中でダメだと判断すれば、スパッとやめる?

 「それはそうだよ」

松井はまだまだやれる

阿部太郎・担当記者が振り返る

 8月8日のタイガース戦。右投手で先発落ちし報道陣を避けて食堂にこもり、もうろうとしてテレビを眺めていた姿は衝撃的だった。

 もう松井秀喜は終わりなのか−。だが不死鳥のようによみがえった。それから5試合後に4安打の固め打ち。結局、シーズン最後まで好調を維持した。9月の松井は表情に明るさを取り戻し、報道陣も含め周囲をホッとさせた。

 今季の松井は5月と7月の大不振に陥った。好調時に見せない空振り、打ち損じ。体調面で不安があったのだろう。それでも8月後半からの爆発は、まだ十分にメジャーで活躍できることを証明した。もちろん、チームが低迷した7月に貢献できなかったことで「全く力になれなかった」と責任を背負い込んだ。ただプレーオフさえ争っていれば、後半戦の爆発は「帳尻合わせ」ではなく「救世主」の評価。松井の中の大きな誤算は、ここまでチームが崩壊するとは思わなかった点だ。

 ソーシア監督は8月17日のレイズ戦後、アブレイユに明日の出場に関して意見交換したが、松井に同様の処置は皆無だった。それゆえに起こった代打の代打、度重なる先発落ち…。まさに屈辱を味わった松井だが、そこまで成り下がったわけではない。万全なケアをしているひざも良好。来季は違うユニホームで30発を打ち、チームをプレーオフに導いたとしても何の驚きもない。

 

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