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【芸能・社会】

押尾被告10カ月ぶり保釈

2010年10月5日 紙面から

 保護責任者遺棄致死罪など4つの罪に問われ、裁判員裁判の東京地裁判決が「致死」部分を認めず懲役2年6月とした元俳優押尾学被告(32)について、東京高裁(岡田雄一裁判長)は4日、被告側の保釈請求を却下した地裁決定を取り消し、保釈を認めた。弁護側は保釈保証金1000万円を納付し、押尾被告は同日夜、東京拘置所を出た。

 昨年12月の逮捕から約10カ月ぶりの保釈。被告は1月に保護責任者遺棄致死などの罪で追起訴された後、地裁に9回にわたって保釈を請求。いずれも却下され、9月29日付の東京高裁への抗告で初めて認められた。検察側は高裁決定に対する特別抗告をしなかった。

 遺棄致死と合成麻薬MDMA譲渡の2つの罪について無罪を主張していた被告側は「事実認定に納得できない」と9月17日の判決当日に控訴。裁判官のみの二審東京高裁で争うことになる。検察側は控訴を見送っており、一審判決よりも重い刑にはならない。

 判決によると、被告は東京・六本木ヒルズのマンションで昨年8月2日午後、飲食店従業員田中香織さん=当時(30)=にMDMAを譲渡。一緒にのんだ田中さんの容体が急変し、午後6時半ごろには意識障害の状態になったが、救急車を呼ぶなど救命措置を取らずに放置し、必要な保護をしなかった。

◆「許されるなら墓参りしたい」

 押尾被告の弁護人の松本修弁護士が4日夕、東京・小菅の東京拘置所前で報道陣の取材に応じた。保釈決定を聞いた押尾被告の様子を、「『とにかく良かった』とうれしがる顔をした」と説明した。

 昨年12月の逮捕後、9回にわたる保釈請求が却下され、この日ようやく認められたが、「米国をはじめ諸外国では(保釈が)弾力的に運用されているのに、日本は厳しい。これは、押尾(被告)が本を読んだりして勉強したこと」と押尾被告の保釈に対する執着ぶりをうかがわせた。

 公判では、事件の被害者の田中香織さんに一度も謝罪していないことが明らかになったが、これまでの接見を振り返り、「(押尾被告は)難しいかもしれないが、許されるなら(田中さんの)両親に事情を説明して墓参りをしたい、と話していた」という。

 保釈金の1000万円は押尾被告の両親が用立てたのではと言われていたが、「弁護人が用立てた」。拘置所を出た後は、「住居制限で(届け出先が)実家になっているので、実家に帰ることになるだろう。証人を含む7、8人に会うことが禁じられている」と説明した。

◆気をつけの姿勢から無言で深く一礼

 押尾学被告は4日夜、東京・小菅の東京拘置所を出た。東京拘置所の裏門前には、4日午後5時ごろから報道陣が集まり始め、100人以上に膨れ上がった。午後7時に被告側が呼んだタクシー2台が到着し、被告は同7時37分ごろ保釈された。裏門が開き、まず拘置所職員が段ボール5個分の荷物を1台目のタクシーに乗せた。続いて被告が職員数人に付き添われて姿を現した。

 ロン毛に黒いジャケット、白いシャツにジーンズ、黒のスニーカー姿。気をつけの姿勢から無言で深く一礼すると、2台目のタクシーの後部座席に乗り込んだ。弁護士が隣に乗り、タクシーで拘置所を後にした。

 

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