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【プロ野球】岩隈 ポスティングOK 球団が正式発表2010年10月5日 紙面から 楽天は4日、エース岩隈久志投手(29)がポスティングシステム(入札制度)を使って今オフにメジャー移籍することを容認すると正式発表した。これまで複数回にわたって球団側と面談し、数日前に合意に至ったという。 規定にのっとって11月1日にも日本のコミッショナー事務局を通じて入札手続きに入る。大リーグ関係者によると、10球団近くが応札する見通しで、応札最高額は1200万ドル(約9億9900万円)近くになるとみられている。 控えめな岩隈らしいメジャー挑戦の第一歩だった。レッドソックスの松坂、ヤンキースの井川らの時はいずれも球団がポスティングを容認した直後に自ら喜びの弁を語ったが、岩隈は会見に同席せず、球団が用意したコメントのみ。質素な船出だった。 「このたび、私、岩隈久志は、ポスティング制度を利用してメジャーリーグへ挑戦するチャンスを球団からいただきました」と切り出し、会見に不在だったことには「ルール上はまだメジャー移籍が決まったわけではありません。ファンの皆さまへのご報告、ごあいさつは来季の所属球団が決まってからとさせていただければ」とした。 応札球団が現れなかったり、交渉が不調に終わったりした場合は来季も楽天でプレーすることになる。正式に大リーグ行きが決まったあかつきにファンにしっかりとサヨナラを伝えたい。それが岩隈流の去り際の美学なのかもしれない。 大リーグへの思いは2連覇を飾った昨年の第2回WBCに日本代表として戦った際に噴き出した。会見した楽天の池田敦司球団副社長も「強い慰留を行ったが、本人のメジャーへの思いが強く、気持ちを尊重すべきだと考えた。球団の最大の功労者である岩隈の生涯における最大のチャンスととらえた」と話した。 近鉄から球団創設メンバーとしてチームを引っ張り続けた。海外FAを取得する来年オフに自らメジャー移籍もできたが、胸の内には「球団に恩返しをしたい」という気持ちが常にあった。それをかなえるためには、最高落札金が球団に振り込まれるポスティングしかない。来年4月で30歳。米国で結果を残すためにも脂が最ものっている今オフがチャレンジする最高のタイミングだった。 岩隈はまどか夫人と2児を連れて家族で米国に移住する予定だが、落札先の球団本拠地の住環境が整っていない場合はその時に検討するという。 (鶴田真也)
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