ロマリオが国会議員に！ブラジル下院初当選

　ブラジル大統領選と同時に実施された同国の連邦下院議員選（定数５１３、任期４年）で、元サッカー代表ＦＷのロマリオ氏（４４）が３日、リオデジャネイロ州選挙区で初当選した。同氏は１９９４年のワールドカップ（Ｗ杯）米国大会で５得点を挙げ、ＭＶＰを獲得。ブラジル２４年ぶり４回目の優勝の立役者となった。

　数々の栄冠を手にしてきたセレソン（ブラジル代表の愛称）の伝説的ストライカーが、今度は政界に殴り込む。ロマリオ氏は地元メディアに「サッカー選手からの政界進出は不安が幾分あるが、有権者は何かできると期待してくれているのだろう」と喜びを語った。

　選挙期間中は、政見放送などで末娘がダウン症であることについて触れながら、貧困層の若者が利用可能なスポーツ施設の建設、障害者への支援拡充などを訴えた。左派のブラジル社会党に所属しており、選管によると、同州選出の下院議員候補の中で６番目の得票を集めたという。

　「未来のブラジルのため、私が別のゴール（目標）を達成するために、投票してくれることを願っている」。ミニブログ「ツイッター」では、約１１万人がフォローし、選挙活動のスケジュールなどを積極的に発信。ブラジル国内ではエースの当落が注目されていた。

　現在は、ブラジル東北部のリオグランデドノルテ州を本拠地とするＦＣアメリカのディレクターを務めるが、０９年１１月には選手としてもプレーしている。ロマリオ氏はサッカー界への復帰について「もう３年も選手としてプレーしていない。チームのためなら、ほかのすべてのことを中断してでもやるだろう。しかし、今は政治に専念したい」と否定している。

　ロマリオ氏が最も輝きを放ったのは９４年の米国Ｗ杯。５得点を挙げ、ＭＶＰと優勝を勝ち取った。大会前には父親が誘拐され、犯行グループから８億円の身代金を要求されたハプニングも。だが、ロマリオ氏は「父が解放されなければ、Ｗ杯に出場しない」と異例の声明を発表し、逆に犯行グループを“脅迫”。その後、犯行グループはエースが抜けて優勝ができないことを心配したのか、父親を解放し、事件は解決した。

　自由奔放な言動で和を乱すこともたびたびあった。９８年Ｗ杯はけがで代表落ち、０２年大会は予選で活躍を見せながら、スコラリ監督の方針で本大会には選出されなかった。０７年５月には自己申告の数字を含むが、「生涯通算１０００ゴール」を達成している。

（2010年10月5日06時02分スポーツ報知）