藤島部屋、伝統の厳しいけいこを継承

　大相撲でかつて隆盛を誇った武蔵川部屋が、継承で藤島部屋に生まれ変わった。５日、東京都荒川区の部屋で本格的なけいこをスタートさせ、先代師匠の武蔵川親方（元横綱三重ノ海）から部屋を受け継いだ新師匠の藤島親方（元大関武双山）は「自分も厳しいけいこで育てていただき、部屋は一時代を築いた。それを絶やさないようにしなければならない」と口元を引き締めた。

　相撲協会前理事長でもある武蔵川親方は厳格な指導で、横綱武蔵丸に武双山、出島、雅山の３大関を育てた。伝統を受け継ぐように、けいこ場には緊張感が張り詰め、雅山や武州山、垣添ら関取衆がぶつかり合った。雅山は「新しい師匠は熱いハートを持っている方。自分も盛り上げたい」と意気込む。

　この日の朝げいこ後「武蔵川部屋」の看板が取り外された。新たな看板となる“藤島”は、かつては一門の違う元大関貴ノ花が中野区に部屋を構え、息子でのちに横綱になった若貴兄弟ら強豪が多く在籍していた現二子山部屋の前身として知られている。３８歳と若い藤島親方は「今でもよく、部屋が中野にあると間違えられる。これからは、日暮里にある藤島部屋だと思ってもらえるようにしたい」。部屋の門出に際し、言葉に力を込めた。