アフガニスタンで見えない敵との戦いが続く米軍兵士たちの緊迫の最前線に密着しました。
開戦から丸9年。今、アフガニスタンでは見えない敵との戦いが続いています。揺れる星条旗の下で苦悩するアメリカ軍兵士たちの緊迫の最前線に密着しました。
アフガニスタン駐留米軍のペトレイアス司令官は、「はっきり言えば、すべての地域でタリバンの勢いが弱まっているわけではない」と話した。
混迷を深めるアフガニスタン。
現在、アメリカは10万人近い兵力を展開している。
カルザイ政権を支える駐留軍の中心として、タリバンなどと戦闘を続けている。
ところが、この兵士たちの死者数が今、戦闘以外の原因で急増しているという。
2009年に公開された「ハートロッカー」は、イラクを舞台に、武装勢力の仕掛けるIED(手製爆弾)と格闘するアメリカ兵を描いた映画。
実は今、アフガニスタンでも、このIEDの猛威が伝えられている。
今回、このアフガニスタンでIEDをめぐる最前線の取材が許された。
訪れたのは、東部のロガール州に展開していたアメリカ陸軍、第20工兵旅団所属の246中隊。
任務は主に、作戦地域内の道路に仕掛けられたIEDの発見と処理。
部隊には、「ルート・クリアランス・パッケージ(RCP)」と呼ばれる爆発物除去小隊が4つある。
午前6時、その1つの部隊が出発準備を始めた。
体の前に大きなバッグをつけている衛生兵は、「(これは?)止血帯だよ。足に巻いて止血するんだ」と話した。
IEDの被害は、死を免れてもほとんどが重症で、初期手当てが重要になるという。
衛生兵は、「(怖い?)こいつはいつも怖がってるよ」と話した。
出発から2時間後、タリバンが影響力を持つという地域に入った。
この未舗装路の周辺は、すでにIEDが埋まるエリアだという。
兵士たちは車から降り、銃を構えながら地面を探りIEDを探した。
爆発物処理班は、「(IEDが埋められているかどうかはどうやってわかる?)全体を見渡して、何か目印がないか探す。車が走っているよね、これはとても良いサイン」と話した。
だが一方では、車の通過を狙い、遠隔操作で爆発させるタイプもあり、油断はできない。
気温40度の炎天下の中、まず兵士が車の前を歩きながらIEDがないかを確認する。
その時、先行していた兵士が何かを見つけた。
IEDにつながっているワイヤ線を見つけたという。
爆発物処理班は、「ここに(電気コードの)端がある。おい、ここだ! この開けたところだ!」と話した。
兵士がコードをたどると、なんと溝を横切る車道の真ん中で止まった。
直ちに金属探知器で調べるが、反応はない。
次に、ナイフで路面の下を探った。
爆発物処理班は、「(IED?)IEDだ。だからそこから離れて。(IEDの種類は?)遠隔操作型だよ。危険だから後ろに下がって。あと10メートルくらい」と話した。
現場には緊張が走った。
ほかの兵士は周囲を警戒し始めた。
IEDの処理中に、タリバンから狙われることもあるという。
危険を考慮し、今回は車内から操作するロボットアームでIEDを掘り出すこととなった。
万が一のため、カメラが近づくことは許されない。
姿を現したのはオレンジ色の固まりだった。
爆発物処理班は、「(その装置は?)手製の爆発物だよ」と話した。
掘り出されたのは、大きなポリタンク。
中には、農薬から作った爆薬が詰められているという。
爆発物処理班は、「(いつ埋めたと思う?)わからない。1、2日前かな」と話した。
18リットルタンクほどのIEDは、ここで爆破処理されることになった。
用意した別の爆薬で誘爆させる。
カメラも現場から退避した。
爆発物処理班は、「かなり大きな爆発になるぞ」、「全員退避! 全員退避! 全員退避! 爆発するぞ」と話した。
爆発物処理班は、「(これまでどのくらいIEDを処理してきた?)わからない、数えたことがないから、ここに来てからは20〜25個。3回ほど派遣されて、おそらく100個以上処理したかな...」と話した。
民間のデータによれば、駐留軍兵士の死者の6割にあたる、およそ300人の兵士がIEDで死亡している。
2011年のアメリカ軍撤退まで、およそ9カ月。
彼らの戦いは、撤退のその日まで続くのだろうか。
(10/06 00:40)