2010年8月11日 19時28分
気象庁は11日、7月の北半球中緯度(北緯30~60度)の高温についての分析結果を発表した。モスクワで38.2度(7月29日)、北京で40.6度(同5日)と異常高温を記録した原因として、寒帯地域と亜熱帯地域の上空を流れる二つの偏西風の蛇行を指摘した。
気象庁によると、太平洋赤道域で起きたエルニーニョ現象から遅れて、インド洋などの熱帯の海面水温や大気の温度が高くなった影響で、北半球中緯度全体が高温傾向にあった。これが7月前半にニューヨークなど米国東部が異常高温となった一因としている。
欧州やロシアなどでは、これに加え偏西風の蛇行が影響した。偏西風が北側に蛇行すると、暖かい高気圧に覆われ気温が上がりやすい。欧州からロシア、東シベリアでは寒帯地域の上空を流れる偏西風(寒帯前線ジェット気流)が北に蛇行、中国北部周辺では亜熱帯地域の上空を流れる偏西風(亜熱帯ジェット気流)が北に蛇行した。日本の梅雨明け直後の猛暑も中国北部周辺と同様、亜熱帯ジェット気流の蛇行が原因としている。【飯田和樹】