「トップリーグ、近鉄25‐22神戸製鋼」(3日、加古川運動公園陸上競技場)
昨季5位の神戸製鋼は、22‐25で昨季11位の近鉄に逆転負けし3連敗。終盤に驚異の追い上げを見せた近鉄の前に、今季限りでの現役引退を表明しているCTB大畑大介(34)の今季初トライも水泡に帰す形となった。神戸製鋼は1勝3敗の12位となり7季ぶりのリーグ優勝に早くも黄信号。日本選手権3連覇中の三洋電機は初昇格のNTTコミュニケーションズを50‐10で下し、4戦全勝とした。
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降りしきる雨が容赦なく敗者を打ち付けた。ラストワンプレーを告げるホーンが鳴り響いた後に喫したまさかの逆転トライに神鋼フィフティーンは全員がぼう然。「非常に悔しい。シンビン(一時退場)でゲームコントロールがうまくいかなかった」。苑田HCは悪夢の結末に天を仰いだ。
残り10分で天国から地獄に突き落とされた。22‐8で迎えた後半30分、FB正面が反則を犯し10分間の一時退場。1人少ない状況から33分、37分と連続トライを奪われ22‐20と急接近を許すと、最後は今季初先発のWTB松井が左隅にトライを決められ、まさかの逆転劇。
大逆転勝利に喜びを爆発させる近鉄フィフティーンを横目に、逆転の今季初トライで一時は主役の座に躍り出たCTB大畑は信じがたい光景に力無くひざをついた。「勝利に結び付けられなかった」。びしょぬれの34歳は重すぎる敗戦に唇をかんだ。
ラストイヤーの背番号13が輝きを放ったのは前半36分。右中間付近のラックからこぼれたボールを近鉄SH佐久間がキックで逃れようとした一瞬を見逃さず猛チャージ。手前にはじき落とすとそのまま猛然と頭からインゴールに飛び込んだ。
残酷すぎるシナリオに度重なる負傷を乗り越えた“不死鳥”もさすがにショックを隠せない。それでも「あとはホンマにやるだけ。うまくいってないけど気持ちを切り替えたい」と充血した瞳で必死に前を見据えた。
3戦連続の逆転負け。7季ぶりの王座奪還に向けたプレーオフ進出へ早くも後が無くなった。「非常に痛い1敗。目の前のゲームを取っていくしかない」‐。名門再建を誓った苑田神鋼ががけっぷちに立たされた。