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【いきいき】日本ALS協会理事・川口有美子さん 死の議論の前に介護を思え (1/3ページ)

2010.10.4 08:05
このニュースのトピックス介護
母親の介護について懐かしむように語る川口有美子さん母親の介護について懐かしむように語る川口有美子さん

 ALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)という難病にかかった母の在宅療養は12年に及んだ。その記録をつづった『逝(い)かない身体(しんたい)』(医学書院)が今年度の大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。介護の日々は過酷そのものだったが、同時に「蜜月」のような満ち足りた歳月でもあった。母の意を汲(く)んだ介護が「交代できない介護」に変わり、命という命が尊く思えるようになったという。

 「最初のうちは歩けないとか、ろれつが回らない程度だった。やがて寝たきりになり、最後のころは人工呼吸器を装着することになった。他の病気であればドクターとともに闘えるが、この病気は闘っても治らない」

                   ◇

 ALS患者は現在、国内に約8千人いる。その日常は「生きてゆく恐怖」の中にある。全身のあちこちが硬くなり、呼吸することもつらくなる。口が開いたまま硬直してしまう患者もいる。介護なしで一人で生きていくことは、ALS患者にとって「絶望」を意味する。患者の自殺率が低いという報告もあるが、「自殺したくても一人ではできない。運動神経以外は健康で、どこも悪くない」という。

 母親の介護を続けながら、7年前に訪問介護事業所「ケアサポートモモ」を立ち上げた。ALS患者を対象にした介護やケア事業を続けているが、手薄な介護保障が患者と家族を苦しめている現実を痛感。「長引く介護によって家族も年を取り、心身ともに疲れ果てている」

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母親の介護について懐かしむように語る川口有美子さん
ALSの国際会議に出席。ノルウェーの患者家族らと (川口有美子さん提供)

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