(cache) 魔女と優しい王国
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epilogue[おとぎ話をはじめよう](2/9)
あれから時間が経った。五年ぶりのテロ事件の首謀者は、内輪もめで捕まったらしい。街も騒ぎ立てられたけど、実際は五年前ほど被害は少なかった。でもいなくなった人は少なくなかった…
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「お元気そうで、何よりです。プロフェッサー」


「キミは憂鬱そうじゃないかね」


架条浅見はいつ会っても暗い顔の来客を、無意味に元気に出迎える。


「……例の事件の報道ですね」


架条が見ていたテレビの画面を、暗鬱な顔の男はイヤそうに横目で眺めた。


半年前、蔵浜市を襲った連続テロ事件を語る特集番組。


多くの人間に傷を事件は、彼らの多くにとっても、やはり傷を残してくれた。


「……あなたは楽しそうですね、プロフェッサー。実験は事実上失敗、その後の隠蔽だけでも頭が痛い、オロドルインまで失って……」


「彼らは、よくやったんじゃないかね!課せられた役割をそこそこ果たし、美しく散ったと称賛しようじゃないか」


芝居がかった態度と、腹が立つほどの明朗さ。


「……彼らは仕事の途中だった。結果、想定外に多くの接続者が生き残った。我々は―――」


男たちの苦悩にもかかわらず、架条は笑う。


この男に会う度に、その点を忌々しく思う。


「ありのままを愛するのが天才というものなのだ!」


「分類し、記録し、忘れ去るのが機構の在り方だよ。狭量なキミたちは、自分たちの都合を世界の都合だとよくかんちがいするがね」


「無論、私もキミも、出来に違いはあっても歯車の1つだ。必要ならそうしよう。だが、私の天才は、今そうあるべきだと語らない。インスピレーション!!」


「…………わかりました。本題は別件です。そちらの方を」


わざわざ文句を言うために、こんな場所まで足を運んだりはしない。


世界はいつも目まぐるしく速く、男の仕事は次々新しくなる。


「いつ見ても憂鬱そうにしているが、世の中、そんなに楽しくないかね?」


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