(cache) 魔女と優しい王国
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第五章[黒い竜と生存共同体](1/53)
朱い獣から逃げ切った奏は浅黄の家に囲われる事になった。家から出るなと言われたが、奏は一日も守ることは出来ないのだった…
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夜明け。


カーテンの外では白み始めた空。


街が仮初めの眠りから目を覚ます。


人、物、情報。


都市は今日も息づいている。


珍しく、部屋にお客が多かった。


1人2人なら、たまに拾ってくることもあるが、神無と俺を入れて5人と言うのは滅多にない。


「……死んだ、死にかけた、今度こそダメかと思った」


主役属性のないヤツが無理をすると、骨身に堪える。


疲弊しきった身体をだらしなくソファーに埋めた。


これ以上、1歩動くのも嫌な気分。


「生きているのに死んだとは、惰弱な男だ。日常的につまらないことを言っていると、浅黄みたいになるぞ」


「……俺は元々、浅黄だよ!」


死者に鞭打つのが、魔女のお好みなのだ。


「……仲いいんだ」


「浅黄を愛しているデレデレの幼馴染みだからな」


「……嘘ヲツクナー」


病院から奏を回収した後。


今後の相談も兼ねて、俺の部屋に移動した。


机の上には、ツマミ代わりに買い置きのポテチの袋。


「へえ、なかなか悪くない部屋だよねえ」


「おっきいですね。1人暮らしだと伺ったのにこの環境。浅黄さん、刀ヒロインの幼馴染み持ちに加えて、ボンボン属性まで有りですか。レベルが高いですね」


「……親父と同居でし。今は海外に長期出張なだけ」


どういうレベルなんだ、それは。


「そうですか、エロゲ設定の方でしたか」


「なにそれなにそれ?」


「親と同居だとストーリー展開上不都合が多いので、金銭的に問題が無い程度に、両親とも長期出張だったり海外に旅行中だったりするご都合設定のことです」


「不都合、多いんだ?」


「攻略したヒロイン連れ込んで、アンナことやコンナことするんですけれど、親がいたらやっぱり邪魔でしょう?」


「ちょーっ!」


教育的デコピン。


「……右脳が痛いです」


「不道徳は禁止! 教育的にダメ!!」


お堅い正義の味方は、トマトのように熟れていた。


「……そんでは、これからのお話、しましょうか」


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